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2009年7月 9日 (木)

PCセキュリティ無関心or脆弱+国策司法+児童ポルノ法改正案が組み合わさると凄いことになるね。

 雑談日記でブラウザ使用のアクセスを解析すると、55〜65%がIE(インターネットエクスプローラー)を使っています。夜間は固定読者の割合が増えるようで、セキュリティに強く、機能的な利便性もよいFire foxを使う人が増えるようです。結果、雑談日記では夜間のIE使用者が減ります。(世間一般で言えば、MicrosoftがWindowsにおまけでつけてくるIEの占有率が95%前後なんて時代がありました。それから比べれば随分IEは減りましたね。)

 IEもそれなりにセキュリティについて分かって使う分には良いのでしょうが、あまりセキュリティに関心がない人が使っているとズボズボ状態になります。たとえばインターネットのセキュリティ設定を「高」にしていると、IEでは雑談日記の動くアニメGIFは見られなくなります。そしてActiveXを使えるようにしろだのインターネットのセキュリティ設定をし直せみたいな警告表示がやたらに出ます。アニメGIFにActiveXは全然関係ないのにね。

 こんなことはFire foxを使っている人には自明なことです。Windowsを使っていてインターネットのセキュリティ設定を「高」にしていてもFire foxを使っていれば雑談日記のアニメGIFはちゃんと動いて見ることが出来ますからね。そしてFire foxはActiveXなんて関係のないブラウザなのです。設計思想からセキュリティを優先しているブラウザだからそうなります。

 現在、児童ポルノ関連で話題になるのはファイル共有ソフトWinny関連で語られることが多いようです。

※僕自身はWinnyを使ったことはありませんがP2P(Peer to Peer)ソフトとしてのWinnyを感情的にただ目の敵にすることは間違っていると思います。Peer to Peer技術のこれからの可能性にも目を向けるべきです。技術が悪いのではなくそれを悪用する奴が悪いだけです。たとえば包丁で人を殺すこともできますが、包丁を世の中からなくすべきだなんて言いますか?

 しかし、Winnyなんて使わなくても55〜65%人 たちの全部と言わなくてもかなりの人がセキュリティなんて関心を持たない人でしょうし、セキュリティ的に脆弱な人たちなのですから、掲示板などでリンクを 踏まさせて誘い込んでおいてからActiveX関連の技術を使えばたとえば児童ポルノ関連のファイルをある特定ターゲットの人物のパソコンに貼り付けるく らいのことは可能でしょう。

※ActiveX関連の技術は便利な技術です。しかし、便利さと言うのはそれと引き替えにセキュリティを犠牲にする場合が多いのです。

 以下、児童ポルノ法改正案関連のメモ。

 保坂展人さんのエントリーを5本。

[投稿] ジャニーズや「WATER BOYS」は「児童ポルノ」なの? 2009年07月06日
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/6360a33d157408928273f4922f056599

児童ポルノ法改正案の最新版「論点整理」 2009年07月06日
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/1572f2517ac43bbc0a7706c4bb485921

イタリア「テレホノ・アルコバレーノ」児童ポルノ国別調査は 2009年07月02日
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/387dacc42be8cfcc29d4c0eec7f4d8de

児童ポルノ法の制定目的とかけ離れた監視国家への道(質疑動画付)2009年06月29日
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/04e4751d560853e576c8d69637edf57f

児童ポルノ「単純所持」の犯罪化について(福島みずほ)2008年04月02日
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/93d40be04bd92726e5c0ddfae41767e5

 以下、保坂さんの衆院法務委員会での質疑。

2009年6月26日 法務委員会 5時間24分

保坂展人(社会民主党・市民連合) 13時 31分 33分

Windows Media Playerで、
ブロードバンド(500k)

ナローバンド(28.8k~)

(↑アイコンクリックで該当質疑部分に飛びます)
※範囲指定コピペでご自分のブログにも表示できます。

 同じもののYou Tube版です。

児童ポルノ法「改正」の問題点を追及|保坂展人・社民党
http://www.youtube.com/watch?v=XzazKKIIHSA

児童ポルノ法「改正」の問題点を追及(2)|保坂展人・社民党
http://www.youtube.com/watch?v=YL_AGWWLiNs

 

※閑話休題:最初のYou Tube、保坂議員の右側で肘をついて見えるのは公明党の丸谷佳織(44歳)だそうです。

参考:2009-06-30 [児童ポルノ法][メモ]児童ポルノとコンピュータウィルスと冤罪 01:53

元ラジオパーソナリティ児童ポルノ法関連, 丸谷佳織(公明党)
http://d.hatena.ne.jp/killtheassholes/20090626#p3

 公明党の丸谷佳織大先生も凄かったです。涙を浮かべて与党改正案の早期成立を訴えてました、目薬を点してから(笑)。役者やのぉ~。

 一番攻めやすいエロを標的に⇒戦前のような治安維持法体制化へはよくあるやり方。

 自民党と創価・公明党は日本を監視国家、カルト国家にしようとしている!


国会会議録検索システム」からの国会会議録です。(公開は1週間~10日後

171-衆-法務委員会-12号 平成21年06月26日

平成二十一年六月二十六日(金曜日)
    午前九時四十五分開議

(略)

○山本委員長 次に、保坂展人君。

○保坂委員 社民党の保坂展人です。
 私は、かつて子どもの権利条約がまだ批准される前に、衆議院外務委員会で、悩んでいる子供、人権侵害をされている子供の声を大人、ジャーナリストとして証言したり、その後、皆さん御存じだと思いますけれども、チャイルドライン、子供の声を二十四時間イギリスで受けとめている民間組織の活動を国会内で紹介し、今、全国に大変広がっている。これは超党派で、あらゆる政党の皆さんに入っていただいて続けております。また、二〇〇〇年には、児童虐待防止法、これはどうしても必要だということで、これも超党派で立法し、余り急いでつくったものですから幾つか抜けている点があった。二回にわたって見直しの作業もしています。という意味では、子供の人権という意味では、あるいは権利条約という意味では、このことを第一義に考え、動いてきたという立場の議員であります。
 私は、以上前置きしながら、今回のとりわけ与党案にお尋ねしていきたいんですけれども、大変重大な危惧を覚えているんですね。というのは、表現の自由あるいは内心の自由にかかわる重要な議論が必要だろうというふうに思っているからです。
 実は、ちょっと資料を取り寄せてみましたら、今二〇〇九年ですが、ちょうど丸十年前にこの法律の最初の審議があった当時、私は法務委員会の一番最初に、「不思議の国のアリス」のルイス・キャロルのことを取り上げて、写真も当時出たての写真で、非常に写真に趣味をさらに高じていって、少女の写真を撮っていった、中には半裸、全裸のものもあった、ロンドンのナショナルポートレートギャラリーに展示されていて、芸術的に高い評価を受けているというようなケースがあるんだけれども、これはどう考えたらいいでしょうかと。当時の大森提案者は、芸術に該当するかどうかということはこの法案では立てていないんです、「当該描写に係る児童の姿態がこの法案の要件を満たすものであるか否かによって判断される」と答えているんです。
 そこで、先ほど枝野委員と葉梨提案者のやりとりを聞いていて、私も、篠山紀信さんが撮影した「サンタフェ」、百万部とか百五十万部とか売れているということで、過去見たことがあって、記憶がたどれなかったので国会図書館から借りて見直してみましたけれども、私は、これが本当に児童ポルノなのかなというふうに、率直に言って思えないんですね。児童ポルノだというふうには思えない。
 ただ、それは基準があってのことですから、葉梨さんが先ほど、例えば「サンタフェ」が家庭の中にあったら、この一年以内にこれを探して処分をするということをやってもらいましょうよというふうに答弁されたと思うんですが、これはお変わりありませんか。児童ポルノであるという判断なんでしょうか。

○葉梨議員 私自身も余り品行方正な生活をやっていたわけじゃないんですが、「サンタフェ」は見たことがないものですから、具体的に「サンタフェ」が児童ポルノに当たるのかどうかということについては、今ここで結論づけて申し上げることはできません。
 ですから、先ほど申し上げましたのは、「サンタフェ」が当たるか当たらないか、それぐらい有名なものであれば、宮沢りえさんが当時何歳だったかというのも大体わかるでしょうから、政府の方でもそれぐらいのサービスはしてくれるんじゃないんですかというようなことで申し上げたんです。
 「サンタフェ」を探さなきゃいけないということで、「サンタフェ」を持っていたよなというような記憶のある方はやはりそうしていただくということだろうと思いますし、先ほど言いましたけれども、蔵の中に、あるいは押し入れの中にもしかしたらあるかもわからないけれども、「サンタフェ」を持っていたという記憶がないなという方がそれを探さなければならないということはないんだろうと思います。たまたま将来、押し入れをあけて「サンタフェ」が出てきて、もし「サンタフェ」が児童ポルノに当たるんだということになれば、それは廃棄なりしていただければよろしいんじゃないかなというふうに思います。

○保坂委員 見ていないのに、廃棄した方が安全だ、そういうふうに言えるんでしょうか。(葉梨議員「違う、違う」と呼ぶ)ちょっと待ってください。その後議論します。
 ちょっと警察庁にまず基本的なことを聞きます。
 三号ポルノの要件の「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」、こうありますけれども、これは統一したいわゆる認定基準のようなものを設けているんでしょうか。

○園田政府参考人 お答え申し上げます。
 いわゆる児童ポルノ、三号ポルノに当たるかどうかでございますけれども、これにつきましては、個別具体的な事案に即しまして、本法の制定趣旨あるいはこれまでの裁判例等を踏まえまして、児童ポルノに該当するかどうかを総合的に判断しているところでございます。

○保坂委員 今の答弁は何も言っていないのに等しいんですね。ケース・バイ・ケースで見ると。
 警察庁からきのういただいたコンメンタールでは、これは一応、衣服の全部または一部をつけない児童の姿態を描写したものの中には、水浴びをしている乳幼児の自然な姿を撮影したものや医学図書に掲載された児童の身体を撮影したものが含まれることになり、このようなものは除外する、こうありますよね。そういうふうに具体的に除外しているものがあるんだと答えてもらわなければ困るわけです。
 では、葉梨さんにもう一度聞きます。いいですか、葉梨さん。これは具体的に「サンタフェ」というものを見ている見ていないという問題は出てきますけれども、写真家の中で、いわゆる少女のセミヌードとかソフトヌードと言われるような、「サンタフェ」もその一つだと思いますけれども、そういう写真をかつてお撮りになって、写真集という形で出版をされ、あるいは平凡パンチとかプレイボーイとかそういう青年雑誌にも掲載されていたということが過去にありました。それらのものは児童ポルノに当たるのかどうかというところをどういう尺度で判断されているんですか。

○葉梨議員 先ほどちょっと誤解があったようですが、私は「サンタフェ」というのは見ていないんですけれども、もしも「サンタフェ」が児童ポルノに当たるということであればということを前提でお話をしたので、見てもいないものをどうなんだということではないということでございます。
 それで、過去にいろいろな雑誌で、そういったいわゆる三号ポルノというものですか、出ているということはあろうかとは思いますけれども、基本的に、児童が十八歳未満かどうかというところがまず一つの尺度になりますね。
 十八歳未満かどうかというのは、先ほど未必の故意の議論もありますけれども、明らかに、顔から見てなかなかよくわからなくても、制服を着ているとかそういったことで大体それは推知されるという場合もありましょうし、あとは顔が幼いかどうかということで。それが十八歳未満かどうか、客観的に見て、ほぼ十八歳未満じゃないかなというように推定がされるようなものかどうかということが一つありますね。
 それで、衣服の一部または全部を脱いでいるかどうかという要件、そして、それが性欲を興奮させ刺激するものかどうか。これについては、地裁判例等でかなり明確な基準等が示されておるんですけれども、そういったところで判断をしていくということになるんじゃないかと思います。

○保坂委員 そうすると、では、「サンタフェ」の話はそれを見ていないということですけれども、同様の、例えば篠山紀信さんは十代の少女の写真等を数多く撮っているわけですね。写真集も出していらっしゃる。恐らく自宅にはネガフィルムや紙焼きがたくさんあるでしょう。しかし、もし単純所持ということでいえば、これは児童ポルノに相当するという判断がされれば、全部フィルムや紙焼きを廃棄処分しろ、こういうことになりますか。

○葉梨議員 廃棄をしていただくか、あるいは国立国会図書館に届けていただけば、国立国会図書館ではそれは正当行為として保管するということにもなるんでしょうけれども。
 児童ポルノに当たるものであれば、どんなに有名な方がつくったものであっても、あるいはどんなに大手の出版社が出したものであっても、やはりそれについては、明確にここにあるんだというようなことがわかっている方は、一年以内に廃棄をしていただくということが求められるんじゃないかと思います。
 ただ、廃棄というか、申し上げると、それは一般的な禁止規定ということになりますけれども、取り締まりをするかどうかということになりますと、それは、あくまでこれは自己の性的好奇心を満たす目的で持っているかどうかということになってくるわけで、ある写真家が自己の性的好奇心を満たす目的でいろいろなネガフィルムを持っているということが立証されれば、それは処罰の対象になるでしょうし、明らかに正当行為として、単なる保管で、それは自己の性的好奇心を満たす目的では明らかにない、それはネガとして持っているだけで、一切今までも見たこともないということであれば、当たらない場合もあるだろうというふうに思います。

○保坂委員 では問題は、だれが判断をするかという問題ですね。
 私も、児童ポルノ、ひどいポルノがあり、そこの被写体になって、人権を侵害され、そして救出を求めてきた子供たちに対して鈍感であってはならないと思います。それについての規制を強めることは賛成ですよ。ただ、だからといって、いわば三号ポルノというのは非常に定義があいまいじゃないかというふうに私は考えています。そして、例えばその写真集を持っていることが、恣意的にそれが犯罪化されたり犯罪化されなかったりするようなことはやはりあってはならないと思います。
 これに関連してもう一つ聞いていきますが、いわゆる処罰をする場合には、「自己の性的好奇心を満たす目的で、」こうありますけれども、単純な禁止規定で「何人も、みだりに、」とありますね。この「みだりに、」というのは、先ほど正当な理由なくというふうにおっしゃいましたけれども、正当な理由なくというその限定は、そんなに深い意味内容を指していないように私には思えるんですね。何か、こういうものを除外しているんだというふうに列挙できますか。みだりにではない所持の仕方というのはあるんですか。

○葉梨議員 例えば捜査機関が、押収した児童ポルノを持っている、これはみだりにではございません。先ほど言ったように、例えば国立国会図書館、これは出版物全部持っていなきゃいけませんね。それを持っていて、かつて児童ポルノが出版された、国立国会図書館に保管されている状況も、これはみだりにということではありません。
 さらに、先ほど枝野委員からの質疑にもありましたけれども、多分ですけれども、まさにこの法案を審議するためということで、もちろん性的好奇心を満たす目的でもない、まさに法案審議のために、きょうもちょっとお配りしたんですが、これが画像だったら児童ポルノになるんでしょうけれども、そういったものを研究する、これが明らかであれば、それはみだりにということにはならないだろうと思います。
 いずれにしても、正当な理由というのは、結構いろいろな例というのは挙げればあるんじゃないかなというふうに思います。

○ 保坂委員 諸外国では、例えばアメリカでは、文学、芸術、科学、政治などの価値に欠くものというような列挙をしてあるところもありますね。例えば、今葉梨委員が挙げた、御自身がかかれたイラストですか、これはどこまでが児童ポルノかどうかというような議論のために資するものだということだから除外されるという意味でしょうけれども、それは学術的な意味ということになろうかと思います。
 他方で、一番最初に挙げましたけれども、芸術的な価値がある作品である、これは芸術的な作品として保管をしているんだということは、その正当な理由になるというふうに考えていいんですか。

○葉梨議員 これは当初から、法案、一貫してということですけれども、芸術的な作品であるかどうかということで児童ポルノに該当するかどうかということでの限定を付しているというわけではございません。まず、これは定義の問題ですね。
 みだりに持つということについては、それは正当な理由というのがあれば持てるということですけれども、芸術性のある写真だからといって、一般人が持っていて、それが児童ポルノに当たるのであれば、それは正当な理由があるとは言えないだろうと思います。
 アメリカの例で、芸術的なものは除外しているというのを、私どもも質問通告がありまして調べてみたんですけれども、明確にその出典が明らかじゃないので、チャイルドポルノグラフィーに関する定義かどうかというのはちょっとわからないということでございます。

○保坂委員 芸術的な作品であるというものが同時に児童ポルノでもあるということがあり得るのかどうかということは、やはりこれは深めていかなければいけないと思いますね。私は、芸術的な作品としてそういう少女の写真ということはあり得るという立場であります。
 ですから、過去に出版された、さっき「サンタフェ」の例を挙げましたけれども、そういった写真集がいわゆる禁書になって、例えば古本屋さんからもこの一年以内に全部蔵出しして、焼却処分しなければいけないというような形で、この与党案がもし通ったらそういうふうな、そこまでは求めていないんだよということを言うかもしれませんけれども、しかし、過剰反応というのは常にあるわけで、今の答弁者の話にもあるように、そういう疑わしいものは持っていない方がいいんじゃないかということで、日本全国、大掃除して、かつてのそういう写真集とか古書店にあるものとかを国立国会図書館かあるいは最寄りの警察署に届けなさい、こういう反応も起き得るんじゃないか。
 この点、富田さん、公明党はどう考えますか、人権上。

○富田議員 保坂先生の言わんとしているところはよくわかるんですが。
 先ほど三号ポルノに該当するかどうかというところは、京都地裁の判決でかなり詳細に認定していますので、多分、その京都地裁の判決の基準に当てはめると、保坂先生言われる芸術性の部分で、性欲を刺激しない、相当程度そこが落ちてくるんだという、三号ポルノ自体から外れてくるんじゃないか。そういう場合には、やはりそれを持っていたからといって廃棄しろというふうにはならないと思うんですね。
 客観的には、まだこの一例が、かなり細かく判断したというのは一例ですけれども、ここが基準になっていくのではないかというふうに私自身は考えています。

○ 保坂委員 今の点、枝野さんに聞きたいんですけれども、やはり三号ポルノの要件が非常に幅が広いということで、警察に聞いても、ケース・バイ・ケースで、そのときの状況に応じてというような答えが返ってくると、ここにまた単純所持規制ということが入ると、問題が大変多いだろう。その点、民主党がそこに手を入れたということの目的や意図はよくわかりますけれども、今の議論を聞いていて、どういうふうに思いますか。

○枝野議員 まず、児童ポルノに該当するものが芸術性のあるものと両立をするのかという話なんですけれども、私は、少なくとも十一年の立法者の一人として、その時点で、今後は十八歳未満の児童をモデルとして、仮に芸術性の高い写真であれ映画であれ、そういったものをつくることはやめましょうという趣旨であった。
 なぜかといえば、芸術性が高い低いということでその被写体とされる子供の人権侵害の程度が違うのかといえば、そこは違わない可能性もある。もちろん、それが性的虐待、物理的虐待までいけばまた別ですけれども、ただ写真を撮られた、裸の写真を撮られたということでは、それは有名な芸術家が芸術作品としてつくった場合とそうでない場合とで違いはないのではないかというふうに考えました。ですから、基本的には、芸術性が高いかどうかということで三号ポルノに該当するかどうかということの区別がつくということは、少なくとも私は、立法者の一人として、想定をしてきておりません。
 だからこそ、過去にさかのぼって、芸術性のあるものとして社会的にも許容されてつくられた作品について、新たに出版をして、新たに配給をしてということについては、これはおやめをいただいた方がいいんじゃないですかということはできたとしても、それを持っているから廃棄してくださいということまではできないのではないか。
 その当時は、特に先ほど来名前の出ているような、例えば「サンタフェ」。私自身も中身まで詳しく見ておりませんから、私どもの案の「殊更に」に該当するかどうかは判断いたしかねますけれども、仮に、特に十一年の本法施行前、製造等が規制をされる前の段階では、芸術性が高いものについては子供が被写体であったとしてもという、社会的に許容されていた時代につくられたもので、それを、広く流通しているものを、さあ全部捨てなさいということまで迫れるのかということになれば、それはまさに刑罰の遡及ということになるだろうと思いますので、それは無理ではないかというふうに思っています。

○保坂委員 また与党の方の提案者に聞いていきたいんですけれども、処罰がかかっているところの前提に、「自己の性的好奇心を満たす目的で、」ということがあるわけですね。ここの証明をするのが密室の捜査になるんじゃないかという議論が午前中あったと思います。私もその危惧を持っているんです。
 質問は、次の点になるんですけれども、もともとこの法律は、児童ポルノという大変忌まわしき、被写体になって、そのとき、それから未来にわたっても、長期にわたって人権をじゅうりんされるという子供の救出、その権利の保護にそもそもの法律の目的が、保護法益があったのではないかというふうに思うんです。
 アニメや漫画のことは今回入りませんでしたけれども、どうもその目的がさらに肥大をして、いわゆるそういった個人の、例えば少女を恋愛、あるいはもっと言えば性愛の対象にするような傾向の、ある種の嗜癖というかそういうものですね、これ自体がやはり社会的に好ましくないんだと。私も好ましいとは実は思っていないんですが、しかし、古今東西の文学作品には、少女を対象に恋愛を描いているものというのは過去にもあったし、そして、それがまた名作であれば映画化をされた例もあるしということですね。
 もちろん、小説は絵ではありませんから、小説がポルノだなんという話はないと思いますけれども、しかし、そこの小説に描かれているようなものも、そういう個人の嗜癖や、その作家が想像の中でつくり出す人間模様の中で、ある社会的な好ましくない傾向を描いている場合もあるじゃないですか。ここはやはり表現の自由との関係でしっかり整理しておいた方がいい。
 この法律は何のためにあるのかというのは、私の理解では、被写体になって人権をじゅうりんされる子供たちの保護のためにあるのであって、それ以外ではないというふうに私は考えている。そこはどうですか。

○葉梨議員 先般来の議論でありますけれども、基本は、実在の被害に遭った児童の保護であること、これについては間違いない。個人的な法益という話で先ほどございました。
 では、社会的法益の部分がもともと全くないんだろうかというふうに考えますと、現行法においても、今明らかにこの世に存在しない、亡くなった方であっても、実在の児童を被写体としたものであったら、それはやはり規制はされる。さらには、やはり個人的なそういった法益、つまり被害児童を虐待するということを何らかのために防止するというような措置、これをとっていかなきゃいけないんじゃないかというようなこと、それをつらつら考えますと、やはり社会的法益の部分というのは全くないとは言えないんじゃないかというふうに私自身は考えています。
 ただし、問題は、社会的法益の部分ということで、例えばその傾向自体に対処をする。私は傾向がいいとは思いませんよ。では、例えばテレビゲームだ、アニメだ、漫画だといったときに、これはやはり二〇〇二年の米国の連邦最高裁の判決もあるわけで、一律に全く実在の児童と同じような規制を全くエビデンスなくやってしまうというのは、これは私はいかがなものだろうかなというふうに思います。
 ですから、規制の態様というのは、当然実在の児童を対象とするものと違ってくるべきだし、そのための立法事実というのをしっかりと研究をしていかなければいけない。まだ日本においてはその段階なんだろうというふうに思います。
 ですから、その意味で、今回、附則に研究ということで入れたのは、与党としては、社会的法益の部分をこの法律で、今も例えば亡くなった児童はどうだというぎりぎりの話はありますけれども、それについて研究をして、今後この法律でいろいろと規定をしていくんだというような考え方がありますよということを附則で盛り込んでいるわけです。そこの部分が、これはどちらをとるかという決めの問題なんですけれども、民主党はそれを別法でやろう、私どもは一緒の法律でやろうということです。

○保坂委員 社会的に好ましくない行為が文学やあるいは映画で描かれるということは、例えば殺人事件なんというのは典型的ですね。そして、殺人事件のナイフがテレビドラマで出てくると、それが誘発したみたいな話もございますし、また、いわゆる、人が何十人も死ぬ映画やテレビというのは日常茶飯事にあるわけですね。
 しかし、それが一概にすべてを規制すべきだという話になっていないということは、表現の自由との関係でいうと、どうなんでしょう、ちょっと法務省にお聞きしたいんですけれども、この児童ポルノの単純所持がないというのが問題だという声がずっと強いんですね。そうすると、単純所持規制が生まれた国で、それ以前の子供対象の性犯罪発生率みたいなものがそこで抑止された、横ばいになったり、あるいは減ったというような例はあるんでしょうか。もし数字が言えたら教えていただきたい。

○大野政府参考人 諸外国における児童に対する性犯罪の動向に関する統計資料でございますけれども、私ども、手元に有しておりませんので、今の御質問に対してお答えできません。

○ 保坂委員 では、もう一つ大野刑事局長に聞いておきたいんですけれども、自己の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを所持していた場合という与党提案者の話なんですけれども、こういう目的というのは、心の中、気持ちの中、内心ということにならないか。やはり客観的な、外形的な行為として表出したことをもって処罰するというのがいわゆる戦後の刑事法の原則だったかなと思うんですが、その目的でということを外見的に表出しない段階でもって確定をし、例えばそれを犯罪として処罰するようなことは現に行われているのか。あるいは、将来行うとしたらどのような捜査になるのか。

○大野政府参考人 ただいま御質問がありましたのは、いわゆる目的犯と呼ばれる犯罪の類型についてでございます。
 目的犯によりましてはいろいろなものがございますので、一概にはお答えできないわけでありますけれども、刑法で申しますと、例えば刑法百七十五条後段にわいせつ物販売目的所持罪というのがございます。物理的な、対外的な行為としては所持をしているだけであっても、そこに販売目的があるかどうかということで犯罪の成否が変わってくるわけであります。
 そうした販売目的の認定に当たりましては、そうしたわいせつ物を所持するに至ったいきさつ、どういう経緯で手に入れたのか、それから、所持しているわいせつ物の内容とか量ですね、あるいはどういう形で所持をしているのか、所持をしたものの中で利用、処分したものがあるのか等々のそうした事情から立証することが多いというように承知しております。

○保坂委員 そうすると、もう一点ですが、今の刑事局長の御説明だと、例えば、ある程度の量を用意していて、あるいはそういった販売をする準備をしていて、あるいはそういうルートを持っていてとか、幾つか外形的に外に表出する事象として確認し得るものもあって証明をされるのかなと私は聞いたんですけれども、自己の性欲を満たす目的で所持していたぞということを証明するといったら、自白以外にないんじゃないかなと。
 おびただしい量を持っていたら、それはまた同じになりますけれども、例えば数冊持っていたとか一冊持っていたという場合はどうでしょうか。

○大野政府参考人 今の御質問は、自己の性的好奇心を満たす目的という、いわゆる改正法案の中身に関するものでございまして、現在審議中でありますので法務当局からどこまで申し上げるのが適切かと思いますけれども、お尋ねでございますのでお答え申し上げます。
 自己の性的好奇心を満たす目的でありましても、そうしたいわゆる児童ポルノを所持するに至ったいきさつ、偶然飛び込んできたものなのか、それとも例えば買い集めたものなのか。それから、所持している児童ポルノの内容ということもございます。普通の写真なのか、特別に、いわゆるえげつのない内容のものなのか。もちろん量もございますし、それから、どういう形で所持しているのか。たまたま一つだけ持っていたのか、大量に持っていたのか等々の、そうした外部的事情から立証することになるだろうというふうに考えております。

○葉梨議員 午前中からいろいろと議論をさせていただいておりますけれども、自己の性的好奇心を満たす目的というのが自白だけに寄っかかって立証するんだというのは、それはそうじゃないだろうと思います。やはり、例えば、一枚であって自己の性的好奇心を満たす目的でありますよというのを立証するときには、絶対自白だけじゃないでしょうかといったら、その児童ポルノに手あかがついて何回も見られているとか、何回もクリックされているとか、あるいは、先ほども、今も答弁ありましたけれども、その児童ポルノの内容ですとか、そういったことからある程度客観的に立証ができると私は思っています。

○保坂委員 この点について、やはり外部的に表出をした証拠によってしか犯罪化され得ないというのは原則だと思いますし、ここが外れてしまうと、心の中で君はみだらなことを思い描いたのかということが処罰対象になりかねないということを指摘して、時間になりましたので終わります。
 ありがとうございました。
    ―――――――――――――

○山本委員長 ただいま、両案審査のため、参考人として、首都大学東京法科大学院教授前田雅英君、弁護士一場順子君、財団法人日本ユニセフ協会大使アグネス・チャン君、上智大学文学部新聞学科教授田島泰彦君、以上四名の方々に御出席を願っております。
 この際、参考人各位に委員会を代表して一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙の中、御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜れば幸いに存じます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず、前田参考人、一場参考人、アグネス・チャン参考人、田島参考人の順に、それぞれ十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
 なお、御発言の際はその都度委員長の許可を得て発言していただくようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。
 それでは、まず前田参考人にお願いいたします。

○前田参考人 首都大学東京法科大学院の前田と申します。
 児童ポルノに関しては、初めに、平成十一年の法律のころにも若干お手伝いさせていただいて、森山先生以下に若干の御説明をさせていただいたことがあるんですが、法律ができたことによって、やはり児童ポルノ、少なくとも、活字媒体といいますか、本屋の店頭からはかなり様相が変わって減った。非常によくなったと思うんですが、状況の変化に合わせて、やはり今回、両党の案、非常によくできていると思いますが、さらに進歩をさせていただきたい。
 その意味で、法律の細かいことをちょっと申し上げるかもしれませんが、私は刑法の専門ですので、刑罰法令をつくるときの観点からいって、それから現行の処罰の状況を踏まえて、どう改正するのが最も児童のためになるかという観点から発言をさせていただきたいと思います。
 一つは、初めの立法のころに比べて特に留意しなければいけないのは、ネットの問題ですね。法益侵害性が非常に高まってきている。児童ポルノが一たんネットの中で流れ出してしまうと、もう消えることはあり得ない。永遠に残ってしまう。もちろんなるべく残さないように消していくことが重要だと思いますけれども、本人にとって非常におぞましい画像が一生消えない形で残り続けるということ、これを何とかしなきゃいけないということなんだと思います。
 立法の状況としてもう一つ変わってきているのは、刑事法の側からいいますと、刑罰というのはなるべく狭い方がいいというのは今でも変わらないんですが、例えば、家庭内の子供のしつけなんかについて刑罰が入るのはとんでもない、男女間のトラブルに法律を使うのはとんでもない、夫婦げんかは犬も食わないと言っていたのが、児童虐待の法律ができた、ストーカーの法律ができた、そしてDV法ができた。その間ずっと見ていまして、やはり適切に、国民の意識の変化に合わせて立法状況、進めていっていただいていると思っております。
 その中でやはり、児童ポルノ法を初めにつくったところで、後で申し上げますが、日本の文化の特殊性という意味で、非常に慎重目につくっていった。だんだん機が熟してきて、さらに国際的なレベルに合わせて動いていけるようになってきているという感じがいたしております。
 やはり、ネット社会が中心になってくると余計そうなんですけれども、グローバルな視座というのは非常に重要だと思います。ほかの研究会なんかでアメリカ大使館の方なんかに来ていただいてお話を伺っていても、やはり、その国の評価をするときに、子供に対してのスタンス、しかも、こういう画像に対してのスタンスがどうであるか、これが非常に大きなものであるというのが実感としてわかります。今回、いや、外国の言うなりになってどうこうということだけではないんですが、やはり恥ずかしくない立法ということで、どういう理由でこうしたかということを世界に向かって常識的に説明のできる立法ということが重要だと思っております。
 先ほど、ちらっと申し上げかけたんですけれども、日本の特殊性といいますか、東洋の特殊性といいますか、性に関しての問題というのは国ごとに大分事情が違うわけで、何をどこまで処罰するか、例えば、同性愛処罰というのは西欧では非常に問題になるんですが、我が国では同性愛そのものを処罰するということはないわけですね。近親相姦の処罰ということもない。
 そういう状況の中で、児童ポルノの平成十一年の法律ができる前は、刑法百七十五条のわいせつ罪の対象として児童ポルノをどうやってマネージしていくか、抑圧していくかという観点だったんですね。ところが、その当時は、わいせつ物というのは、これはこういう場ですから申し上げざるを得ないんですが、例えば、陰部の陰毛の部分がどれだけ写っているかがわいせつ罪にとって重要である、わいせつのチェックはそれでやっていたわけですね。そうすると、児童はそれがないからわいせつではないから、児童ポルノは問題が少ないものとして、大人の性的な好奇心の対象のものに代替するものとして、より広く使いやすいものとして出版されたというような経緯も少しあるんです。
 それが、児童ポルノの法律、世界の流れの中で、単なる性的な法益侵害、風俗としての法益侵害を超えて、子供の人格権、人権、そういうものに移っていく中で、児童ポルノというのは従来のポルノ犯罪とは違うという形に変わってきた。名前を児童ポルノとしておくこと自体、私はそれ自体は全然問題ないと思うんですが、その揺れ動きはきっちり見ておく必要があって、レジュメにも書いたんですが、性的自由といいますか、性犯罪に関しては、強姦、強制わいせつというのが片一方であって、もう片一方にはわいせつ物陳列みたいなものがあって、児童ポルノはわいせつ物陳列的なものの延長線上としてとらえてきたのが、いや、もっと人間の人格の根本を害すると。その意味で、強姦、強制わいせつに近いような、被害者は社会じゃなくて少女そのものだという方向に大きく振れていくんですね。
 ただ、児童ポルノの問題というのは、それだけに特化してしまいますと、限定してしまいますと、問題を見誤るのであって、やはり児童ポルノ自体が社会全体に対して風俗的な侵害も与えているということも考えていかなきゃいけない、これが今回の改正案を見るときの一つの視座になると思います。
 この中で、よく小児性愛の問題なんかを考えるときに、児童ポルノを禁圧すると、特にこの場合は漫画のことなんかを考えている人が多いんですけれども、これを禁圧すると犯罪がふえると。要するに、幼児に対していたずらをしないで済んでいるのは漫画や画像を見て満足しているからであるというようなめちゃくちゃな議論もあります。これはもちろん立証されていない。逆に、こういうものがなくなれば、幼児に対してのそういう侵害が減るかといったら、そう単純ではないと思います。だから、これをなくしてもそういうものが減らないから禁圧すべきでないというようなめちゃくちゃな議論をする人もいます。
 これも、犯罪を減らすためだけの手段でやるのではなくて、その画像が出ること自体で少女自体が大変な侵害を受けて、おぞましいものを見せられているというものもあるし、それから、社会全体から見て、小学生等を強姦しているものを写して、それが、いや、強姦罪に当たるけれども画像としては問題ないんだみたいな議論、これはやはりおかしいんだと思いますね。
 その辺のバランスをどうつかまえながら現在の国際的な常識に合わせて法案をつくっていくかということなんですが、その意味で、両案を見せていただいて一番気になったのは、やはり児童ポルノの定義ですね。
 現実に、きのうも東京都の関係で、こういう画像とか出版物の問題点をチェックしていて、一番たくさんあふれているのはやはり幼児の裸なんですが、裸になるかならないかぎりぎりのところで、小さな切れ端をつけて水着様に見せて、これで今全裸ではないからオーケーだみたいなものをたくさん出しているわけですね。それでも十分広まる可能性があるし、重要な部分である。
 今回のものを見ますと、殊さらに露出させとかなんとかという絞りをすると、要するに、ただ全裸のものの写真だけで性器が余り写っていないみたいなものが落ちる可能性がある。これは非常に危険なことだと思います。現実に広がっている画像とかそういうものの観点からいって、この点は、児童ポルノの問題を考えるとき、それからPTAの方々や何かの御意見を伺っていても、これは非常に困るということですね。
 「殊更に」というのがどういうふうに解釈されるか、我々法律家の常識からいったら、これはやはり専ら性器を写したもの以外取り締まれないというふうに変わると読みます。その意味で、この案は気にはなる。
 ただ、民主党案にも非常にすぐれた点があって、後でも述べます、盗撮の防止とか、それは非常にすぐれていると思いますけれども、性器に余りこだわるのはよくないといいますか、それに特化してというのは、先ほど申し上げたような意味での広い法益侵害をカバーするという意味で十分ではないという気がします。
 私は、わいせつ物の審査みたいなものを警察の関係でも若干お手伝いしている中で、結局、わいせつの方に引きつけ過ぎると、性器が何%写っているかだけでいってしまうんですね。だったら、性器がぼんやりしか写っていないから、女の子から見たら耐えがたい裸の写真でもこれはオーケーということになる。これは非常にまずい。その可能性があるようなものであるとすれば、むしろ後退になるのではないかという危惧感を持っているということでございます。
 ただ、それに関連して、盗撮防止なんかで民主党案が提案されているのは、私、盗撮の問題を何とかしなきゃいけないと考えている者としては、非常に重要な御提案だと思うんですが、それが児童ポルノの定義の変更と組み合わさってしまうと、問題の解決が不十分になるというふうに考えております。
 あと、時間の関係で、ちょっと単純所持罪の方に移っていきたいと思うんですが、先ほどの世界の趨勢に合わせてということ、それ以上に、現実の取り締まりとか実効性のあるチェックという意味では、やはり単純所持の禁止をうたうことは非常に重要だというふうに思います。もちろん民主党案も単純所持に対しての対応を試みておられる。ただ、単純所持自体の禁止規定、罰則のない禁止規定は、特にネット社会でブロッキングの問題や何かが出てくる、それから削除要請をするというようなときに、法的にこれは違法な画像であると言えるか言えないかというのは非常に重要なんですね。
 処罰するかどうかに関しては、構成要件の明確性は非常に重要です。それに対して、民主党案、自民党案、それぞれ苦労されていて、それについて一言申し上げたいと思うんですが、その前提として、処罰規定の外に禁止規定を設けることが非常に重要な意味を持っているということを強調しておきたいと思います。
 「みだりに、」という概念、もちろんこれはあいまいだと思いますけれども、この程度の規定というのは、ほかの法文からいって、不明確であるというようなそしりは決して受けないんだと思うんですね。
 あと、具体的な所持罪の中身ですけれども、自民党の方は、「自己の性的好奇心を満たす目的で、」ということで、目的規定、これは考え方によっては不明確になる。ただ、一つの考え方は、こういう縛りをつけないで、単純所持をもっと広く処罰すべきだというのが世界の流れからいって筋だと私は思います。平成十一年のころから、単純所持を処罰する議論の方がむしろ強かった。ただ、処罰範囲が広過ぎるとか、日本ではまだ児童ポルノがそんなになじんでいないということで、もうちょっと熟すのを待ちましょうといって今まで来ているんですね。
 その中で、自民党の案もやはりなお慎重に、「自己の性的好奇心を満たす目的で、」と。客観的に、ただ一枚持っているとかじゃだめで、法律家の感覚からいくと、ある程度の枚数を持っているとか、持っている形状からいって、やはりそれはある程度判断できる、ある程度じゃなくて、今までの刑事の世界はそうやって立証するわけですね。絞り過ぎるという感じはあるけれども、やはりこの程度の縛りをするというのは、ある程度やむを得ないかなということなんですね。
 法律家から見て、あと、みだりに、有償または反復してというのも非常によく使う合理的な根拠というか構成要件の絞り方なんですけれども、これは実際上の運用を考えたときに非常に厳しいことになる。ポイントは、取得したときに児童ポルノの認識がなきゃいけないので、取得行為の立証、どこで、どうやって、いつ、だれから買ったかの認定をどうしていくか。
 もう時間がないので、ちょっと急いじゃいますけれども、今でも児童ポルノ捜査というのはハードルが高いです。特に、十八歳未満の認識がなきゃいけないんですね。それから、児童をちゃんと特定していなければ、特に年齢を立証しなきゃ構成要件該当性は認められませんから、大変なことになるし、あと、ネットにもう移ってきていますから、それをどうさせるか非常に難しい。
 その中で、所持罪をどうつくっていくかというときに、有償、これまた有償も立証が非常に難しいんですね。ですから、肝心の人が逃げてしまう余地がかなり高くなる。あと、反復といっても、これだけ満ちあふれているいろいろなサイトから一個ずつ持ってくると、反復じゃないみたいな議論をされちゃいますと、潜脱することがかなり容易に見えるような構成要件にも見えるんです。
 ちょっと、重箱の隅をつつくとか、揚げ足をとるような議論をしているように見えて申しわけないんですが。私、パーフェクトということはないと思いますが、基本的に、今回の改正で、両案、非常に御努力されたというのは認めるんですが、どちらかといえば、政府・与党案については、唯一、「自己の性的好奇心を満たす目的で、」というのが若干絞り過ぎかなという感じはしますけれども、現実に動かすには、やはり現実に考えられる案としては、結局はベストに近いというふうに考えております。
 以上で終わります。(拍手)

○山本委員長 どうもありがとうございました。
 次に、一場参考人にお願いいたします。

○一場参考人 弁護士の一場でございます。
 このたびは、発言の機会を与えていただきましてありがとうございます。
 私は、日弁連子どもの権利委員会や東京弁護士会子どもの人権と少年法に関する委員会に所属しております。また、現在、社会福祉法人カリヨン子どもセンターの理事もしております。そのような弁護士としての活動の中で、性的虐待を受けた子供のケースを扱うことがたびたびありました。カリヨンは子供のシェルターを運営していますが、性的虐待を受けた子供が入居することもあります。本日は、児童ポルノ禁止法の一部を改正することに関しての参考意見ということですので、これまでの子供の権利にかかわる私の経験を踏まえてお話しさせていただきたいと思います。
 今回の改正の眼目は、先ほど前田先生もおっしゃられたように、児童ポルノの単純所持の処罰化の問題ですが、私は、現在の児童ポルノ禁止法の児童ポルノの定義があいまいである点に問題があると考えています。
 同法の第二条三項によれば、「「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿」、正確には「姿態」ですが、言葉にするとおかしいので姿と言いかえますが、「児童の姿」「を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。」というふうになっています。
 そこに言う「児童の姿」とは、一号で「児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿」とあります。これはどういう姿かが具体的で、違法性は明らかです。そして、二号が「他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿」。ですから、これもどういうものか具体的です。
 ところが、三号は、「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿」となっています。イメージしていただければすぐわかると思いますが、これだけでは、裸の赤ちゃんもプールの水着の子供もみんな入ってしまいます。もちろん、このどれにも「性欲を興奮させ又は刺激するもの」というものが加わっていますけれども、何が「性欲を興奮させ又は刺激するもの」かは、客観的、一義的に明確ではありません。構成要件の明確性というのは先ほど前田先生がおっしゃいましたけれども、そういう意味でこの定義は問題だと私は考えます。
 一号、二号はもちろんこのままで構わないと思いますが、三号は、そういう意味で、親が撮影した子供の写真も客観的にはみんな入ってしまうということになるので、このような定義のままで単純に持っていることを処罰するということは、処罰の範囲が広がり過ぎる危険があると思います。
 児童ポルノの定義としては、お手元に参考資料としました児童の権利に関する条約の選択議定書、この二ページ目には、「「児童ポルノ」とは、現実の若しくは擬似のあからさまな性的な行為を行う児童のあらゆる表現又は主として性的な目的のための児童の身体の性的な部位のあらゆる表現をいう。」というふうに定義しています。あからさまな性的な行為、主として性的な目的のための子供の身体の性的な部位といえば、その内容は具体的で、なぜ違法かは客観的にも明らかです。
 また、もう一つ、次の資料は、昨年四月に米国大使館でアンドリュー・オースターバーン米国司法省児童搾取・わいせつ部部長がお話をされたときに資料として配付されたものです。やはりこの二ページ目の三に、まさに、「自分の子供が海で遊んでいる裸の姿を親が撮影する場合はどうですか。その親は有罪となりますか。」という質問が書いてあります。この質問に対して、「こうした画像は米国法では児童ポルノには当たりません。合衆国法典第十八編第二千二百五十六条に明記されている米国の児童ポルノの定義では、違法な児童ポルノであるには、描写に一定の特徴が示されていなければなりません。最低限でも、描写に「児童の性器や恥部のみだらな表出」が含まれていなければなりません。この定義に合致しない児童の描写を所持する人が訴追されることはあり得ません。」と答えています。
 違法か違法でないかはその文言から一義的にわかるような明確な定義でなければならないのは言うまでもないことです。先ほども申しましたように、処罰範囲の拡大の危険性があります。この資料で答えられているように、違法となる児童ポルノの定義は適切に行わなければなりません。
 そのような観点で見ると、現行法の児童ポルノの定義は、三号が極めてあいまい、不明確です。今回の与党案は、この児童ポルノの定義を変えないまま、これを所持した者を罰する罰則規定を新設している点で非常に問題があると私は考えます。民主党案は、問題となっている第二条第三号を削除し、定義を客観化し明確にしている点で評価できると私は考えます。
 次に、被害児童の保護に関してですが、現在の児童ポルノ法でも十五条に「関係行政機関は、」「当該児童がその受けた影響から身体的及び心理的に回復し、個人の尊厳を保って成長することができるよう、相談、指導、一時保護、施設への入所その他の必要な保護のための措置を適切に講ずるものとする。」と規定されています。この文言から、児童ポルノ法において考えられている児童の保護に関する制度とは、主として福祉による保護です。関係行政機関とは、児童福祉にかかわる行政機関である厚生労働省、都道府県、児童相談所、福祉事務所及び市町村と考えられているのだと思います。
 与党案は改正の対象にしていませんが、民主党改正案では、保護の措置を講ずる主体と責任を明確化して、これらの機関を例示しています。責任の主体を明確にしたことは大いに評価できるのですが、福祉の分野だけに限られている点が、それだけでは足りないと私は考えます。
 資料の最初の選択議定書を見ていただきますと、第八条において、この選択議定書を締約した国は、「刑事司法手続のすべての段階において、特に次のことを行うことによって、この議定書によって禁止されている行為の被害者である児童の権利及び利益を保護するための適当な措置をとる。」としています。現在の日本において決定的に不足しているのは、この刑事司法手続における子供の権利の保護のための措置です。
 刑事司法手続に登場する機関として考えられるのは警察、検察、裁判所ですが、このどの機関においても、被害を受けた児童の保護のための特別な制度、特別な取り扱いは考えられていないと私は思っています。裁判ではビデオリンクや遮へい措置がとられるようになりましたけれども、これも犯罪被害者一般、成人も含めた被害者、証人のための保護の制度であり、子供に対する特別な措置として設けられたものではありません。
 資料の最後、「自由と正義」へ私が寄稿したものですが、司法面接の制度を導入すべきだと考えます。
 子供は、暗示、誘導に陥りやすい特性があります。幼い子供は時間の観念が乏しく、目の前のことしかないので、起こった事実を時間に沿って並べることはとても難しく、また、もともと言語的表現がつたないので、大人から情報を入れられると、それもまた事実関係の中に入れてしまいがちです。誘導しないように正確な真実を語ってもらうことは難しく、児童心理に詳しく、特別な訓練を受けた中立的な立場のインタビュアーによる面接が必要です。
 司法面接ができなかったばかりに無罪になった事件があると聞いております。しかし、正確な事情聴取は難しいのですが、子供が受けた苦痛に満ちた経験そのものは小さな子供でも語ることができます。大人のようにきれいに整理して話すことができないだけです。そのような子供からの事情を聴取する手法として、そしてそれを裁判にもたえられるような証拠能力を持った証拠とすることができるようにするための制度として、欧米では司法面接の制度ができ、司法手続の中で取り入れられています。
 また、きちんとした事情聴取を保護された最初の段階で行うことで、福祉の保護手続、刑事司法手続で繰り返し事情を聞かれることによる二次的被害を回避することができます。
 かつて、裁判で証言した後、精神的に不安定になって自殺した少女の話を聞いたことがあります。被害をきちんと聞いてもらうということは傷ついた心をいやす作用がありますが、苦痛に満ちた体験を何度も何度も、いろいろな場面で繰り返し聞かれるということは、二次的被害を拡大する可能性があります。日本にも、ぜひ司法面接の制度を取り入れていただきたいと思います。そのためにも、民主党案の例示する関係機関に警察、検察、裁判所を入れていただきたいと私は思います。
 子供のころに心身に受けた傷をいやすことができないまま思春期になると、さまざまな問題行動を起こすことがあります。人格の統合的な発達そのものが阻害される場合もあります。カリヨンに来る子供たちを見ていても、幼いときにきちんと保護されないまま成長し、さまざまな心の傷を抱えていて、その自立の援助は容易ではありません。この児童ポルノ法は、子供の権利の擁護をその目的としていることが明記されています。子供の権利擁護を実現できるように、政府の具体的施策をお願いしたいと思います。
 最後に、与党案はアニメ等についても検討課題としていますが、この法律は、第一条にあるように、児童の権利擁護を目的としているのですから、実在の子供の被害者のいないアニメ等の問題は、この法律とは別の問題として考えるべきだと思います。
 以上です。(拍手)

○山本委員長 どうもありがとうございました。
 次に、アグネス・チャン参考人にお願いいたします。

○アグネス・チャン参考人 皆様、こんにちは。アグネス・チャンと申します。
 きょうこの場に呼んでいただき、感謝を申し上げます。きっと、先生たちが私を呼ぶ理由というのは、現場の声を聞きたい、その願いで私がここに立っているのではないかと思います。だから、きょうはできるだけたくさん現場の話をし、子供たちの叫びを先生たちに届けるように頑張りたいと思います。今、まるで自分の背中にたくさん被害者の子供たちが乗っかっているような気持ちで立っています。
 ユニセフの正式な見解は、さっき配った資料の中に書かれてあるので、この限られている時間の中では申し上げません。むしろ、現場の話を中心にして話してまいりたいと思います。何か、私の日本語は少しなまっているらしいんです。確かに言葉は足りませんが、その分、心を込めて、最後まで頑張って話してまいりたいと思います。
 まず、先生たちに、法改正案、そして審議に入ることに感謝です。本当にうれしいです。世界じゅう、いろいろな人たち、とても期待していました、きょうこの日。本当に私たちにとってはとても大事な時間です。
 そもそも、私がこの問題にかかわったのは、一九九八年、日本ユニセフ協会大使として任命されたときです。その日です。任命された日です。その夜、私はスウェーデン大使館に呼ばれました。そこで言われたこと、日本は児童ポルノのナンバーワンの輸出国です、ナンバーワンの加害国ですよと言われました。ショックでショックで。私は、この問題についてよく知らなかったし、そういうふうに言われたときは、信じられない気持ちでした。
 その年、私はタイに行かされまして、児童買春、児童ポルノの実態を見てきなさいと。そこで現実を見ました。確かに日本がかかわっています。後ほど、そこで会った子供たちの話もしたいんですが。その後、カンボジア、フィリピン、遠くはモルドバ共和国まで足を運び、実態を見てきました。たくさん被害者の子供たちを抱き締めましたよ。話も聞きましたよ。そして、命を落とした子供たちの話も聞きましたよ。そこで関係者が必ず私たちに言うことは、どうか日本ももっと厳しく児童ポルノを規制してください、その言葉でした。
 幸い、日本も一九九九年、いわゆる児童ポルノ、児童買春禁止法が成立され、一定の成果はあったと思います。少なくとも、コンビニからはすべて児童ポルノは消えたと思います。二〇〇四年、法改正が実現でき、インターネットで配布あるいは販売することも禁止されるようになりました。それでも不十分ですとよく言われます。それはなぜかというと、もう何回も先生たちが言っているように、インターネット、携帯、そういうサイバースペースの中で物すごく広まっていっているんですね。むしろ事態は悪化しています。
 各国はすごく一生懸命取り組んでいるんです。例えば、資料の中にも配られてありますが、二〇〇七年の欧州評議会、そしてG8の司法・内務大臣会議、その中でもずっとこの問題を取り上げ、そして、どうやって取り組んでいかなければいけないのかというのを話し合っていました。特にG8の司法・内務大臣会議は、二〇〇七年から三年連続、この児童ポルノ問題の対策の重要性を訴えています。昨年十一月のブラジルでの第三回児童の性的搾取に反対する世界会議では、児童ポルノの製造、販売、配布、所持、それはもちろんいけないんですが、インターネット上のアクセスや、そして、読んだりする行為も法的に禁止するように求める宣言を採択しました。
 日本の法律がおくれていると言われています。実際に、G8の中で児童ポルノを持っても許されるというのは日本とロシアだけなんです。私はいろいろな人から言われます。国連の方、外国の政府の関係者、一生懸命フィールドで働いているボランティアの皆さんも含めまして、日本はどうして所持を許すんですか、無責任だと言われます。
 私は悔しいです。私は、日本は無責任ではないと思います。日本の国民は、本当に子供のことになると一生懸命応援してくれます。ユニセフが一番よくわかっています。本当に私たちの活動を一生懸命支援してくれているんです。
 しかも、この問題についても無関心ではないんです。二〇〇七年の内閣府が実施した世論調査で、児童ポルノの単純所持は規制した方がいいかどうかというような問題があり、その質問に、規制すべき、どちらかといえば規制すべき、賛成する人たちが九〇・八%です。反対する人たちは四・八%しかいないんですね。国民の意思は明らかです。さらに、二〇〇八年三月、「なくそう!子どもポルノ」キャンペーンを、私たちは各団体とスタートさせました。ことしの一月まで、あっという間です、全国から十一万五千人を超える賛同の署名をいただきました。国民は意思を決めているんです。児童ポルノの単純所持を規制してください、その叫びに私は聞こえます。
 今回の法改正の論点の一つは、やはりこの単純所持を違法にするかどうか、罰則がつくかどうかということだと思います。迷っているなら原点に戻ろう。原点に戻るというのは、そういう児童ポルノが製作されている現場を私が話します。ぜひ皆さん、子供たちの話、つまり被害者の話、そして加害者の意見も聞いていただきたいと思います。
 私、初めてタイに行ったとき、ミャンマーの国境近くにチャンライという町があって、たくさん外国の人たちがそこで子供を買いに行くんですね。ホテルで待っていました。そうしたら、子供三人がお客さんに連れられてロビーに入ってきました。このぐらい小さいんです。余りの小ささで私は驚き、胸が詰まり、柱の後ろに逃げて号泣しました。結果としては子供たちと話ができるようになって、幾つですかと聞いたら、口をそろえて十四歳と言うんです。なぜ。そのとき日本の法律は、十四歳以下の子と性行為してはいけないという、それだけしかなかったんです。児童ポルノ、児童買春禁止法はまだ成立していなかったですから。だから、子供は教えられているんです。日本人に聞かれたら十四歳と言えと。そんなことないんだろうとずっと話していくうちに、実際に、一人は九歳、一人は十一歳、一人は十四歳。二人はミャンマーから買われてきた子です。一人はタイの違う地域から買われてきた子です。そういう子供たちはいろいろなことをされます。必ず写真を撮られるそうです。
 フィリピンのアンヘレスという地域に行きまして、その町でも、やはりたくさんの外国の人が子供を買いに来ます。
 何百人もの子供たちを助けたボランティアの話を聞きました。町を歩いたら、こんなちっちゃい子ですよ、五歳、七歳の子がいるんです。えっ、この子供たちも買われるんですか。ええ、そうですよ、性行為ができなければ口とか手でやってもらうんです。特に日本の方は写真を撮るのが大好きですね。何でだろう、撮ってどうするんだろう。先生たち、私たちはわかっています。その写真を撮ったらどうするのか。配る、売る、自分で楽しむんです。そういう写真をなくさない限り、子供たちは浮かび上がれません。
 日本の被害者の話も聞いてください。
 一人の女の子は、小学校のときです、おふろに入っていたら音がしまして、窓を見たら、ぱちぱちぱちぱち写真を撮られた、もう、わあっと声を出して、親もすぐその男を追っかけましたが、逃げられました。警察に届けを出しましたが、なかなからちが明かない。
 彼女の声です。あの写真がどうなったのかを考えると恐ろしく、中学生に上がってから、私はリストカットや自殺未遂を何度も繰り返しました。ネット上に自分の写真がばらまかれていないかと、何かに取りつかれているように毎日探しています。そこで、日本人だけでなく外国の子供たちが写っている児童ポルノを目にして背筋が寒くなり、何度も嘔吐して泣きました。でも、自分の写真を探すことはやめられないのです。今のように児童ポルノが簡単に手に入る世の中では、私はとても過去を忘れることはできません。自分の人生は終わってしまったような感じです。もし世の中を変える力のある人たちがいるのなら、どうか私を助けてください。
 世の中を変える力を持っている人たちは、先生の皆さんです。どうかこの子を助けてあげてください。
 もう一人、日本の被害者の話です。再婚したお母さんの相手。自分がまだ七歳、八歳のときに何度も何度もひどいことをされ、いろいろなポーズをとらされ、写真も撮りました。そのときはちっちゃかったから何もわかりません。大きくなって、もしかして、インターネットで、自分の写真が写っているのかなと探してみたら、ありました。その子の叫びです。事件から何年も何十年もたっても、写真や映像の残っている被害者は、来る日も来る日も新たに傷つけられ、性暴力を受け続けています。それは拷問にも等しい苦しみです。私たち被害者にとって、児童ポルノは、ポルノなどではなく、犯罪や虐待の現場を永久に残した、心をずたずたにする残酷な凶器です。凶器を持ち続けることを許してはいけません。
 では、加害者の話を聞いてくれませんか。
 私は、この活動にかかわってから、自分のホームページにも、手紙も電話も来ます。もう本当にいろいろな攻撃的な、脅迫的な、そういうようなことが起きてくるんです。彼らの言い分にしては、何でいけないの、私の個人的な趣味でしょう、子供が性的に好きだから、法律は禁止されていないのよ、何でこのばばあがそういうことを一々言うんですか。私は、そういう人たちを許すことはできません。
 今回、法改正は、世界じゅうが注目しています。例えば、シーファー前米国駐日大使、シルビア・スウェーデン王妃、ユニセフ本部からもメッセージが届いています。この結果を皆さん注目しています。そして、たくさん、たくさんの犠牲者の子供たちもこれをとても期待しているんです。性的目的での所持が違法であることを明確にすることを要望します。
 どういうのが児童ポルノだって。昨年のブラジル会議で明らかになったのは、児童ポルノの三〇%は三歳以下です。あんなちっちゃい子供をどうやって。縛って、自分の性器を子供のあらゆる穴に突っ込みます。自分の性器じゃなくてもほかのものを突っ込みます。それで楽しむんです。そういうことを絶対許してはいけないと思います。それをばらまいてみんなで永遠に持ち続けて見るんです。
 フィリピンで会ったストリートチルドレンの子、彼女も体を売っていた子です。当然写真もたくさん写されたと思います。今一番欲しいものは何ですかと聞いたら、消しゴム下さいと言ったんです。自分の人生を全部きれいに消したいです、いろいろなことをされたことを消したいんです。そうです、単純所持を違法にしなければ消せないんです。ずっと持っているんです。その子の願いはかないません。
 子供たちをこれ以上苦しめないでほしい。子供たち、子供だった犠牲者もこれ以上苦しめないでほしいんです。これからの子供たちもポルノの犠牲者にされないために、今国会で改正案を成立し、単純所持を違法にしていただきたいと思います。
 これは私だけの願いじゃないんです。それは毎年百万人以上犠牲になっている子供たちの熱望です。彼らの人生があるのかないのか、明るくなるかならないのか、幸せになれるかどうかというのは、私はこの法律の改正にかかっているのではないかと思います。
 もちろんいろいろな細かい議論はあると思いますよ。でも、何で大人が一生懸命頑張るんですか。何でですか。私たち、どうして生きているんですか。それは子供たちを守るためです。子供は自分のことを守ることができないからこそ、私たち大人はやりがいがあるんです。子供たちに人生を返してあげてください。消しゴムを何とか、ぜひ今回の法改正で、子供たちに与えてあげてください。
 ぜひ、今回のことによって世界の子供たちが、日本の皆さんは本当に私たちのことを考えてくれているんだなと。今度世界会議に出たときには、仲間から、政府関係者からも、ああ、よくやってくれました、これから手を組んで頑張ってやっていきましょう、そういう声をかけてもらえるように、ぜひ皆さん、よろしくお願いします。(拍手)

○山本委員長 どうもありがとうございました。
 次に、田島参考人にお願いいたします。

○田島参考人 よろしくお願いします。
 私は、日ごろは表現の自由の問題とかあるいはジャーナリズム、あるいはメディアについて主として研究をし、教育に携わっている者です。ということですので、今回の児童ポルノ等に関する法律の改正という問題については、その立場から、すなわち、主として表現の自由の立場からという形で意見を申し述べたいと思います。
 やはり、いずれにしましても非常に大事な問題であると思います。ですので、いろいろな角度から、あるいはいろいろな立場から、理性的な議論を交えて、時には非常に厳しいやりとりもした上で、それで、よい方向を目指していくというのが我々の社会が目指していく方向かな、そういうふうに考えて、きょう議論に参加するつもりでおります。
 さて、今回の問題につきましては、御承知のように、与党案と民主党の案の二つの提案が示されております。私の立場からいうと、与党案が提示している問題、法律案、改正案ですね、そこにやはり主として疑問に感じるところが少なくないなというふうに考えていますので、その点を中心に検討を試みるという形にしたいと思います。
 さて、法の改正を考える上では、やはりこういう視点が大事かなというふうに私は考えております。すなわち、私たちの社会が健全に維持されるためには、やはり児童の、子供たちの人権のしっかりした保護、これはもちろんだと思うのですね。とともに、しかしながら、表現の自由との適切な調整ということを一方で欠かしてはならないというのも確かではないかなというふうに私は考えています。それが私の基本的なスタンスです。
 その点から、あらかじめ結論を申し上げますと、与党による今回の、特に単純所持罪の新設という問題、それからさらには、将来の新設の可能性にもかかわりまして、実在の児童を描写しているというものではなくて、それをはるかに超えたいわゆる創作物規制、一般にそういうふうに言われていますけれども、そういう規制の調査研究規定の導入、これが二つの大きな問題かなというふうに私は考えております。
 その二つの点については、やはり表現の自由の保障という観点から見たときに、私は、やや過剰な規制になっていないだろうかというふうに思います。もし過剰な表現規制ということであるとすれば、私たちが維持しなければいけない自由な市民社会というものが少し息苦しい方向に向かうということになると思われますので、やはりそれは十分に注意して検討しなければいけないのかなというふうに思います。
 一つは、現在の児童ポルノ法、これは買春も含みますけれども、便宜的に児童ポルノ法という表現を使います。現行法の枠組み自体が、やはり私は少し問題を抱えているところがあるのかなというふうに思います。すなわち、表現の自由という観点、それからさらには諸外国との比較などから見てもやや過剰な規制に傾いているところがあって、児童の、子供たちの人権の保護と表現の自由の両者のバランスというのが必ずしも適切な形で確保されているとは言えないのではないかというふうに考えております。
 そもそも、これはきょう議論するつもりはありませんけれども、保護対象の十八歳未満というくくり方、すなわち年齢が、保護の対象として妥当かどうか、これは別な機会で恐らく議論はしなければいけないと思いますし、それから、立法過程の中でも、その議論はもう既に制定時にもあったと思います。それは別としても、特に、やはり対象になっている児童ポルノの定義の問題ですね。
 先ほど来、ほかの参考人の御意見にもありましたけれども、特に二条三項の三号の規定です。すなわち、「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」というのがその規定であります。これはどう考えても、やはり本来イメージする児童ポルノとは違うものがそこには含まれているということになっていると思います。すなわち、対象がかなり広いくくり方になっている。しかも、必ずしも客観的な要件ではないと思われる主観的要件も含んでいる。そのことの結果、先ほど言いましたように、いわゆる一般的なポルノやわいせつなどのものだけではなくて、それとはかけ離れた単純なヌード、いわゆるソフトヌード的なもの、こういう表現も法の規制の対象にされてしまっているのではないかというふうに考えます。
 この点、例えば諸外国ではどうかということですけれども、アメリカ合衆国では連邦法典で、これは千四百六十六のA条というところで、例えば露骨な性的描写を含むわいせつであるものであるとか、あるいは性器間なども含むSM行為、交配行為であるとか、さらには、文学的、芸術的、政治的、科学的価値のないものとか、いろいろな留保や制限をつけて、極めて客観的で限定的な定義を示しております。他の先進諸国も、多かれ少なかれこれに従っているものというふうに思われます。
 少なくとも欧米では、規制は、詳細な、ポルノ的な行為ないしわいせつ的なものに限る、あるいは性的なものに限るということであって、また、芸術等の例外も許容をしている。そうであるとすれば、ソフトヌードのような単純なヌードまで過度に規制されていないというのが実情ではないかなというふうに私は理解をしております。
 欧米では、確かに単純所持規制や創作物規制も設けられているところが少なくありません。しかし、それは、このような、先ほど示したような表現の自由への配慮のもとで、極めて限定的な枠組みのもとでそうした措置が用意されているということが大切なのではないかなというふうに考えます。そうであるとすれば、日本ではこうした前提を欠いているがゆえに、過度に広過ぎる規制になっているにもかかわらず、新たに単純所持規制や将来の創作物規制が加わるということになると、やはり問題なのかなというふうに私は考えております。
 すなわち、いろいろなことが想定され得るわけですね。例えば、市民のだれもが規制対象になってしまうおそれがあったり、あるいは、芸術活動も広く規制の網にかけられる、さらには、書店やメディアも自主規制を含め法規制のもとに厳しく置かれるという事態が生じます。また、そういうもとでは、恣意的で政治的な捜査機関の権限濫用とか、あるいはさまざまな形での行政上の規制などが懸念されることになるのではないかなというふうに私は考えております。
 なお、運用上の注意規定ですけれども、これは、民主党の案も含めてそういう運用上の注意規定というのが設けられておりますけれども、私の立場からいうと、肝心なことは、例えば表現の自由などに対して濫用されたような事態が、あるいは予想されるような事態が生じた場合には、ただ単にこの種の注意規定を置くということだけでは、やはりその濫用は防止できないだろうというふうに思います。
 大事なことは、その濫用に対する実効的な歯どめ、すなわち異議の申し立てや救済のためのきちんとした具体的な措置をやはり用意するということをしないと、気休めの規定に終わってしまう可能性があるのではないかな。これはいろいろな法律でそういう規定があるんですけれども、それが果たして本当に機能しているかどうかということについては、その実例も含めてシビアに検証し、チェックする必要があるのかなというふうに私は考えております。
 このように考えますと、児童ポルノ法の改正の方向というのは次のようになるのかなというふうに私は思います。
 現に問題をはらんでいる現行法をそのままにして、単純所持罪を新設したり、将来の創造物規制を導入したりするという方向ではなくて、欧米等の国際的水準にも配慮し、合わせて、さらには表現の自由への適切な考慮、あるいは二つの権利の妥当な調整ということを行った上で、現行法の枠組み自体を整理し、限定するということがまず何よりも私は必要なのではないか。そして、それを踏まえた上で、それがきちんと確認をできた上で、さらに求められる事柄、必要な事柄があれば、新たな規制を慎重に検討していくという方向が望ましいというのが私の意見であります。
 いずれにしても、そういうことを考えると、私は、大きな方向としては、もちろん個別的に幾つか問題点も感じられるところが全くないというわけではありませんが、民主党が提案しているような方向での法の改正、その方向が基本的に私の観点からいうと妥当かなというふうに思います。
 いずれにしましても、両法案とも共通する部分ももちろんありますし、異なった部分も少なくないところがあるわけであって、ぜひその両者のけんけんがくがくの議論も踏まえて審議を行っていってほしいなというふうに強く希望いたします。
 以上です。(拍手)

○山本委員長 どうもありがとうございました。
 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――

○山本委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。葉梨康弘君。

○葉梨委員 自民党の葉梨康弘です。
 参考人の四人の先生方、きょうは本当に御苦労さまです。貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。
 十五分しか時間がございませんので、簡潔に進めてまいりたいと思います。
 田島先生、今の御意見の陳述の中で、特に欧米では芸術的なものが児童ポルノから除かれているというようなお話がございましたけれども、具体的にどこの国でございましょうか。

○田島参考人 短い時間の中で、ちょっと余り正確に言えなかったと思うんですけれども、単純所持罪もそれから創造物規制も除かれているのではなくて、多くの国はそれを用意しているという理解なんですね。
 ただし、その前提になっている児童ポルノの定義が、ある程度限定的なものであるということを前提にして行われている、そういう趣旨なんです。

○葉梨委員 お聞きしたのは、芸術的なものを除いているという国はどこですかということです。簡潔にお願いします。

○田島参考人 私が知っている限り、例えばイギリスとか、あるいはカナダであるとか、創造物にかかわる規制は設けております。
 ただし、イギリスの場合については、ある程度、例えば写実性という要件があるとか、疑似写真、すなわちある種の写真のように見える程度の写実性が求められるとか、そういう限定をしているとか、そういう要件でやられていると。それからさらに……(葉梨委員「芸術的なものだけで聞いているんですよ。ないんですね」と呼ぶ)そうですね。ただ、アメリカの場合には、二〇〇二年に連邦最高裁の判決があって、単なる創造物の規制は合憲ではない、違憲である、そういう判断が出ていると私は認識しています。

○葉梨委員 具体的な国はないということですね。
 二〇〇二年の連邦最高裁の判決というのは、あれはいわゆる疑似ポルノについての判例ですから、ちょっとここで例を挙げられるのは違うんじゃないかなというふうに私は思います。
 一場参考人にお聞きをいたします。
 この二条の三号が非常にあいまいであるという御意見は承ったわけでございますけれども、それを民主党さんの方が、「殊更に他人が児童の性器等を触り、若しくは殊更に児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿」「又は殊更に児童の性器等が露出され、若しくは強調されている児童の姿」という形に直されたのが、非常に明確になってよろしいということなんですけれども、基本的に児童ポルノの定義というのは、大体こんなものが出てきたら今よりは相当明確になるということで考えていらっしゃるのかどうか、御意見を承りたいと思います。短くて結構です。

○一場参考人 今よりも随分明確になると思います。今は、普通に考えていただいてわかりやすいと思うんですが、衣服の一部または全部をつけていない子供の姿というのはかなり広過ぎるので、そういう意味ではかなり限定される。
 それで、先ほど前田先生が性器だけというふうにおっしゃいましたけれども、「性器等」というふうに一応「等」がついております。

○葉梨委員 法律の専門家ですから、「性器等」というのは性器と肛門と乳首だけですから、等というので性器の周辺部分は含みません。
 それで、一義的に明確になるということでございましたので、具体的にこの画像は、(パネルを示す)先ほど民主党さんにずっと質疑をさせていただいたんですけれども、「強調」とか「露出」とか「殊更」とかいうのが物すごくあいまいな答弁です。参考人の方々、帰られてから議事録にぜひとも目を通していただきたいんですけれども、私自身は頭が悪くてさっぱりわからなかったというのが実情なんです。
 最終的に立法者の意思というのがありますけれども、この法律が成立をいたしまして、取り締まりに当たって、そしてこれが有罪かどうかを判定するのは裁判所ということになってまいりますから、法律家の考え方として、このような画像、つまり性器などは露出もされておりません、強調もされておりませんという画像は、民主党案では規制対象となりますか、なりませんか。一場先生。

○一場参考人 先ほどの定義ですね。児童ポルノに直接に該当するかどうかといえば、あの定義を前提にすれば、ならないと思います。

○葉梨委員 前田先生、これはやはり多分、法律家の目から見て、あの定義を前提としたら、ならないです。
 そうなりますと、先ほど盗撮の規制は有意味というふうに言われましたけれども、ほとんど無意味になるんではないかなというような感じを持ちますが、いかがでしょうか。

○ 前田参考人 私が先ほど申し述べたのは、そういう趣旨です。ですから、盗撮みたいなもので、先ほどアグネス・チャンさんがおっしゃったように、自分の裸が写されて、それが永遠に流れるというときに、性器が写っているかどうかということはそんなにバイタルなことではないんですね。
 ああいう写真画とか、トイレとか、それからあとSMですね、そういうもので性器が写っていないものが永遠に蓄積されて残っている、それでもいいという定義を私は問題だと申し上げたんです。

○葉梨委員 それでは、アグネス・チャン参考人に伺います。
 現在、これは衣服を脱いだ人の姿で、(パネルを示す)当然性的好奇心をそそるもの、性欲を刺激し興奮するものであります。ですから、これは明らかな児童ポルノだというふうに私は思います。このようなものが、法律家の目から見て、新たな民主党案では含まれなくなるということについて、御感想をお願いいたします。

○アグネス・チャン参考人 それは子供たちにとっては大変な問題になります。体は自分のものです。みんなに見られたり、それを楽しんだりするというのは、自分の意思に反した状況だったら全部人権侵害だと思います。だから、ぜひそれを規制してほしいです。
 持っていてもいけない、撮ってもいけない、配ってもいけない、もらってもいけない、買ってもいけないと、ぜひ法律で取り締まっていただきたいと思います。

○葉梨委員 それで、もう一つ。持ってもいけないということで、ちょっと午前中の質疑で、幾つか民主党さんからもお聞きをしたんです。
 今の民主党の改正案によれば、例えば、たくさんの児童ポルノを自分のうちで蓄積して持っている、そしてそれが、だれかれのポルノ写真、画像を持っていますよというふうに外で言っても構わない、そういう行為は規制はされませんよということらしいんです。それから、たくさんの児童ポルノを相続で受け取るという行為も、これも規制もされない。それから、自宅で児童ポルノの画像を持っておりまして、それでこれを友人と一緒に見る、自分の性的好奇心を満たす目的もあるわけですけれども、友人からお金をいただくというような行為も規制をされないということになるわけなんです。
 今もお話ございましたけれども、民主党の定義というのは、多分、法律家の目から見ても相当絞ったものになっているわけですけれども、少なくとも、あいまいだというような御意見は承ったんですが、今言われたような例について、今の現行の児童ポルノの定義のままでもやはりこれは私はいけないことなんじゃないかなというふうに思うんですけれども、一場参考人から御意見をお願いします。

○一場参考人 やはり法律をつくるときは、何が違法かどうかが普通の一般の方にわかるような明確なものでなければいけないと思います。そういう意味では、処罰をしたいという事情はわかりますが、明確でない定義はやはり改める必要があると思います。

○葉梨委員 法律的な話とはまた別にお聞きいたします。
 ユニセフの関係で、今いろいろな形で今の児童ポルノの日本における取り締まりの状況も見られていると思いますけれども、例えば、アグネスさん、そこで冤罪が起こったとか、そういった例を聞かれたことはありますか。あるいは、今の日本の児童ポルノで規制をしているという対象が物すごくあいまいだというような印象を現場の声として持たれたことはございますでしょうか。

○アグネス・チャン参考人 むしろ、外国のいろいろな会議に行ったときには、日本の法律が甘いというような話を聞きます。この前もユニセフのシンポジウムでFBIの代表の方が来たんですけれども、その方が言うには、アメリカにはいろいろな取り締まる道具があるんですが、今の段階では、日本はやはり法律が不十分なので協力することがなかなかできない、だから早期にやはり法整備をして、手を組んで、今この広まっている状況を取り締まりたいと言われているんですね。
 しかも、もちろん冤罪というのは防がなきゃいけないと思うんですけれども、でも、大勢の子供たちが犠牲になっているんです。その子供たちはどうするんですか。さっき言ったように、この単純所持をもし禁止しなければ、永遠に残るんですよ。さっき先生もおっしゃったように、例えば、裁判の中で繰り返し繰り返しそのことを聞かれてとか、みんなに知られて嫌だ、その人権を守りたいというんだったら、では、インターネットで毎日繰り返し繰り返し見られている子、その気持ちはどこで私たちが保護できるのか。
 だから、もちろんそういう意味では議論を重ねた上で、何とかその所持を禁止していただきたいです。

○葉梨委員 前田先生に伺います。二問です。
 こちらの画像、(パネルを示す)これは法律家の目から見て民主党案では該当するのかどうかということが一つ。
 それからもう一つは、児童の権利条約の選択議定書に書かれた定義について、一場先生から、こちらの方は明確だというふうなものがありましたけれども、あらゆる性的な部位というようなことになってまいりますと、これまた不明確だという議論が起こってまいります。ですから、現行の児童ポルノ禁止法とそれから児童の権利条約の選択議定書の定義と、私はどっちもどっちじゃないかなというような感じを持っているんですけれども、二点について、時間がないので簡潔によろしくお願いします。

○前田参考人 初めにつくったときも物すごく苦労して定義をして、完全に限定するのは無理なんですが、ですから、民主党案だとそれは外れる可能性が高いということですね。性器が写っていないし、性的なものの中で、SMが入るかどうかというのは分かれてしまう。そうすると、恣意的とおっしゃるけれども、さっき申し上げたように、捜査というのは非常に実は限定的にやりますから、結局、性器がこれだけ写っているのに、ちょっとかすっていてもだめという運用になっちゃう可能性が非常に高いと思います。
 選択議定書のものでいっても、だから差はないんだと思うんですけれども。質問の意味がちょっとよくわからないんです。

○葉梨委員 もう一度、質問の意味は、今の現行法の定義は極めてあいまいだという御意見がお二人の参考人から出たわけですけれども、では、あの定義を全部児童の権利条約の選択議定書の訳文に移しかえれば、あいまいじゃなくなるのかどうかということです。

○ 前田参考人 それは、そうではないんですね。あの範囲で可能な限り明確にして、何より問題は、さっき御意見があったんですが、現状を変えて問題があるところを直していくということなんですが、あの二条の三号でどれだけ広くてどれだけ問題が起こっているかということなんですね。
 現実に、それでも狭過ぎるから広げようという議論をしているときに、あれで広過ぎるから狭くしなきゃいけないと。ただ、現実にどういう侵害があってどんな問題が起こっているか、一度も出たことがないと私は思います。

○ 葉梨委員 最後の質問ですが、今の議論、本当に十五分しかございませんでしたけれども、定義の問題、単純所持の問題、ほかにも将来の研究の問題とか、いろいろ問題点、対立点があるわけですが、アグネス参考人には、与党案をベースにこれから児童ポルノの問題に対峙していった方がいいのか、民主党案をベースにこれから児童ポルノの問題に対処していったらいいのか、どちらがよろしいと考えられるか、お聞きしたいと思います。

○アグネス・チャン参考人 正直に言った方がいいんだったら、私は、単純所持を規制する与党案に賛成したいと思います。
 民主案の中でもいいことはあると思います。ただし、やはり単純所持はぜひ党派を超えて賛成していただきたい。これは、こんなにいっぱいいっぱい、子供がこの辺にいるんです。見えますか。その子供たちの声を聞き、ぜひお願いしたいと思います。

○葉梨委員 参考人の皆さんには、私も午前の議論の興奮が残っていまして、ちょっとアグレッシブになってしまいまして、まことに申しわけございませんでした。
 以上で質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○山本委員長 次に、小宮山洋子君。

○小宮山(洋)委員 民主党の小宮山洋子でございます。四人の参考人の方には、いろいろ御意見ありがとうございます。
 私も、解説委員をしていたころから、スウェーデン会議の前後からこの問題とずっとかかわってまいりまして、きょう審議入りをしたことには、いろいろ私としての感慨もございます。
 先ほどの、午前中の審議の興奮が残っていたとおっしゃいましたけれども、けんか腰にやったら、これは党派を超えて成案は得られません。私は、国会の状況がいろいろあることは私自身も十分承知した上で、この問題は何としても子供たちのためにここで成案を得るべきだと思っているんです。
 そのために、民主党からも、いきなりここでチャンチャンバラバラやったのではなかなか成案になりにくいから、それこそ人権にかかわる、私がかかわってきたものでも、DV防止法とかその改正、あるいは児童虐待防止法の改正とか、これは、理事会のもとに法案をつくった人たちが作業チームをつくって、そこで成案を得る作業、努力をして、それを上げて委員会で採決をするという過程を、子供や女性の人権にかかわる形で、この十年、私がかかわっただけでも何度もやってきているんですよ。
 ですから、法務委員会で、多くの法案についていろいろな対立があることは十分承知した上で、きょうせっかく審議入りをしたんですから、相手のどこが悪い、ここが悪いと言い出したら、絶対これはできないんです。何とか、一〇〇%はできないから、それぞれのいいところを生かして、当面、皆様にとっても一〇〇%はきっといかない、でも、子供たちを今より少しはましな状態にするために、六〇%、最初は六十点かもしれない、それでも今のゼロから六〇になれば、それは大きなことなんですから、ぜひそういう努力をしていきたいというふうに私は思っています。
 それで、この問題につきましては、御承知のように、九六年のスウェーデン会議で、これは政府だけじゃなくてNGOとか、特にこの問題についてはユースと言われる若い人たちが主体になってかかわって、スウェーデンとそれから二〇〇一年の横浜と、ずっと積み重ねてきたわけですね。
 本当は、昨年十一月のブラジル・リオデジャネイロの会議の前に、今のこのネットの時代にあって児童ポルノの規制をということで、私たちも、非常に党内に、やはり別件逮捕ですとか冤罪とかいうことに対する危惧もある中で、やはり定義を明確化するというのは悪いことではない。狭くすることとはまたちょっと違うと思うんですね。明確化することによって何が犯罪になるのかということが明らかになれば、警察も取り締まりはかえってしやすくなるというようなこともありまして、定義を明確にしてきちんと、単純所持と訳したことが私はちょっといけないんじゃないかと。
 この間のリオデジャネイロ会議の宣言の中でも、意図的なというふうに日本語に訳す英文が使われているんです。私たちは、意図的に、反復をして、お金を出してというようなことで規定をしようとしている。ですから、そこを、別に狭くするのではなくて、明らかにしていくという作業を私たちはしてきているというふうに思うんですね。
 そうした中で、やはり、いろいろな懸念を超えて、子供の人権をより守れるためにはどうしたらいいか、そういうことをぜひ、きょうをきっかけに、時間は余りありませんけれども、しっかり取り組んでいけたらいいんじゃないかなというふうに思っています。
 それで、先ほど申し上げたような、理事会のもとにそうした協議をするチームを早急につくって、何とかそのいいところ、いいところを生かしながらやっていければいいと思うんですが、その際に、四人の参考人の方に、この点だけは必ず入れてほしい、ここは留意をしてほしいという点をそれぞれのお立場から伺えると、その作業をするのに参考になるかと思いますので、四人の方に順次伺っていきたいと思います。

○前田参考人 今の御指摘もごもっともで、やはりどこかの新聞の社説にありましたけれども、与野党のあれを乗り越えて、ともかく案ができるということが大事だというのはおっしゃるとおりですね。
 どうしても入れてほしいというのは、やはり、先ほど申し上げたんですが、今の、ここまで苦労してやってこられたものの積み上げでやっていただきたい。ということは、どこにどういう問題があるからどう直すかなんですね。そのときに、定義が不明確だという問題点の指摘はそんなにないんですね。それよりむしろ、やはり今でも狭過ぎると。現実にPTAなんかの方に伺えばわかりますが、現実に流れている画像とか周辺的なものも含めると、やはりもうちょっと考えていかなきゃいけない部分がある。そのときの出発点はやはり現実だということ。
 あと、やはり単純所持的なものを、さっき申し上げたように、ネット社会において有効な規制をしていく、ブロッキングや何かを考える上で、ぜひ、処罰という前に、違法であることの宣言は明確にやっていただきたいということを特に強調しておきたいと思います。

○一場参考人 やはり定義の問題はぜひ、あいまいなままであってはいけないと思います。
 それで、先ほども、性器に限定し過ぎると取り締まれないものも出てくるのではないかというお話がありましたけれども、その妥協案というか、私が、今ここで考えたんですが、選択議定書にあるような、「性的な目的のための児童の身体の性的な部位のあらゆる表現」とか、そういったような工夫をして、性器に限定しない形の、何かもう少し絞り込みがかかった要件を考えるということも一つはあろうかと思います。
 なぜ与党案に反対するか、現行の定義に反対するかというと、本当に、どんな子供の水着の写真でもみんな入ってしまうようなものを絞るものとして、「性欲を興奮させ又は刺激するもの」、こういう主観的な要件だけで限定するというのは、だれがそれを判断し、どういうふうに判断するか、非常に、捜査権の恣意的な濫用を招きかねないということで危惧されます。その点はきつく言いたいと思います。
 それから、先ほど申しましたように、関係機関の中に、ぜひ警察、検察、裁判所を入れていただきたい。刑事司法手続の中で子供を保護していただきたい、それを申し上げたいと思います。

○ アグネス・チャン参考人 私は、やはり児童ポルノの単純所持を禁止していただきたいです。国はそれを認めない、持っていてもいけない、自分一人で楽しんでもいけないんだと。買ったり、手に入れたり、配ったり、売ったりしなくても、持っていて楽しんでもこれはいけないんだというようなことを明確に法律の上で示していただきたい。それが私の一番大きなこだわっているところです。

○田島参考人 先ほど言ったことで基本的には尽きるんですけれども、別な角度でいうと、やはり、本来の子供の人権の保護というものをきちんと念頭に置いていろいろな作業をするというのが私は大事かなと。そこからはみ出し過ぎてしまうと、子供の権利の保護というよりも、もうちょっと広い、社会における表現の自由をややはみ出した形でその規制をするとか、あるいは人々の価値観の領域にも触れてくるところに入ってしまうとか、やはりそこが私は大事かなというふうに思います。
 ですから、その意味では、現行法の、現在の基本的な枠組みが果たしてどこまでいいのか悪いのかということもしっかりした議論をした上で、それでさらに新たな方向なり規制が必要であるということであれば議論をする、それが大事かなというふうに思っています。

○小宮山(洋)委員 誤解がないように申し上げると、民主党の案というのも規制はしているんですよ。
 それは、単純所持というと、それこそ送りつけられて知らない間に入っているのもそうなるんじゃないかというようなことがあるので、自分で意図して、お金を出して、複数回という、その複数回ということにいろいろ疑問もあるかもしれないんですけれども、なかなかさかのぼってやるのは、私自身は、全部禁止したいと本人は思っていますけれども、党内でやはりいろいろな疑念があることも乗り越えないと成案にはならないんです。(発言する者あり)正直に言っていますよ。それで、一番このことに対して懸念を持っていた枝野さんにつくってもらったんです。ですから、ここまでなら必ずできるということなんですよ。
 ただ、今までにそういうようなことがなかったかというと、この児童ポルノに関してはまだ摘発例が非常に少ない。その少ないことの理由としては、今、一場参考人がおっしゃったように、性欲を刺激するかどうか、以前、最初つくるときは、わいせつかどうかという話もあったわけなので、これは個人個人の感覚によって違うからそんなことは警察が取り締まれないということになってしまうわけです。
 ですから、今回、定義を明確にしたということは、私は、これは子供たちのためにも非常に役立つことだと思っているし、少なくともこれから先、子供のそういうような映像を繰り返し繰り返し見たりして人権を侵していくということが防げるような形になるのであれば、そこはすべてベストを求めるのではなくて、そこのところをしっかりすり合わせてやっていけばいいのではないかと私は思っているんです。
 それで、アグネスも解説をされていたときに、各国の定義はいろいろ、ばらばらだというようなこともリオの会議で言われたとおっしゃっているわけですね。
 ですから、そういう意味で、国際的な基準にするということと、日本の中で多くの人が納得をしてやれることというのは、子供の権利のことと、先ほどからおっしゃっている報道の自由ですとか、それぞれの、一人一人の、別件で、冤罪が起きないようにとか、そういうことも配慮するのはやはり法律をつくる私たちの責任ですので、そこのバランス、どこでバランスをとるかで軸足の置き方がそれぞれ少しずつ違う。
 だけれども、これは党派を超えて、人権にかかわるものをつくるときには必ずぶつかってくる問題で、そこは、私は、お互いを非難し出したら切りがないので、何とかいいところで成案を得るようにというその努力をしていくということは、多分、きょうの参考人の皆様の総意でもあるのではないかというふうに思うんですね。
 ですから、定義の問題と、単純所持というか意図的な所持というか、その意図的な所持のところについては、民主党の方が罰則はかえって強くつけているんです。限定してはっきりしたもののところにはきちんと科罰も多くする、そこはしっかりとした考え方にのっとっていると思うんですね。
 そのことと、あと、先ほど、カリヨンでもいろいろやっていらっしゃいますけれども、一場参考人がおっしゃったような、被害を受けた子供のケア、そして子供が二次被害を受けないようにというところは、まだまだ日本の中で取り組みがおくれていると思いますので、先ほどは時間が足りなかったかと思いますから、そこのところをもう少しおっしゃっていただければと思います。

○一場参考人 刑事手続の中で、つまり、一番最後は裁判所なんですが、警察、検察の中で子供たちに対する配慮を、本当に今の段階では余り考慮されていない。それをこれからはぜひ具体的に、いろいろな制度が各国にあります、それも研究の上で具体的に取り入れられたら本当にすばらしいことだと。その中で、傷ついて死んでしまった子もいますから、そういった子供たちの二次被害は是が非でも回避したい。
 それから、最初の段階できちんと子供の話を聞くということは、今の司法面接はビデオで撮るんですが、ビデオで撮ってきちんと残すということは、その後の繰り返しの質問を減らすことにすごく効果があるんですね。そういうことを取り入れてほしいと思います。

○ 小宮山(洋)委員 もう時間が少なくなってまいりましたが、先ほど田島参考人が、現行法をそのままにするのではなくて、そこを精査することから成案を得るようにという御発言をいただいたんですが、それも、それぞれが案を持った上で合意を見ていくための一つの方法かと思いますので、最後にその点をもう少しお話しいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

○田島参考人 私が一番そこの点で思うのは、やはり定義の部分ですね。特に三号ポルノの部分ですね。そこをやはりちょっと詰めて、民主党にしても自民党にしても、私はぜひ詰めてやっていただきたいと。それができないと何もしなくていいということじゃないと思うんですね。それをやった上で、ではどこまで、どういう形で、規制が必要な部分は規制をして、あるいは、規制をしてはいけない部分もまたもちろん同時にあるわけですけれども、私も、ある部分で、かなり限定、絞った上で、厳しい処罰が必要であるという箇所は当然あり得ると思うので、そういう形でぜひ進めていっていただけたらというふうに思います。

○小宮山(洋)委員 ありがとうございました。ちょっと、半分ぐらい私の思いも込めた質問になってしまいましたけれども。
 民主党もここまで法案をつくってきました。前回の改正のときには法案をつくるまで至らなかったんです。ですから、そういう意味では、お互いに足りない点が多々あると思っているので、あそこが足りない、ここが足りないといったら、これはやはりきょうの参考人の皆様の御意向にも、何より子供たちの意向に沿わないことになるので、最大限努力を法務委員会でしていただきたいと思いますし、法案提出者として私も努力をしていきたいというふうに思います。
 ありがとうございました。

○山本委員長 次に、富田茂之君。

○富田委員 公明党の富田茂之でございます。
 参考人の先生方、本当にきょうは御意見ありがとうございました。また、各党の理事の皆さん、きょう審議入りをしていただきまして、法案提出者として本当に感謝申し上げます。
 小宮山先生から、御本人はやはり単純所持を罰したいという本音が出て、すばらしい、よかったというふうに私は思います。小宮山先生の方で、まだ児童ポルノの検挙数が少ないから、そういう誤判みたいなのが出ていないんだというようなお話がありましたけれども、実は、警察庁の調査では、二十年で、児童ポルノの事件は、送致件数六百七十六件、送致人員四百十二名、被害児童三百三十八名と、急増しているわけですね。
 そういった意味で、やはり児童ポルノを撲滅するという意味では、ここはもう与野党を超えてやっていく必要があると思いますので、きょう先生方の御意見を聞いて、何とかこの国会で成立をさせたいなというふうに思いました。
 任期はもう九月十日で切れてしまいますし、何となく解散かというような話もありますので、そうすると、国民の皆さんから見て、この法律はどうなってしまうんだというような思いがあると思うんですが、実は、二〇〇〇年に、児童虐待防止法、私がちょうど委員長をやっておりまして、提案しました。あのときももうすぐ解散だというふうになって、それで各党が歩み寄ったんですね。それぞれ各党の案が全く違っていまして、それでも法律はここでつくるべきじゃないかというような状況になって、きょう保坂先生がいらっしゃいますが、各党の理事が集まりまして、それぞれの案は、もう引くところは引くというような形で、とにかくまず一歩踏み出そうということで法案ができましたので、ぜひ、きょう参考人の先生方の御意見も参考にして、まず改正していく。特に私は単純所持を処罰するという方向で改正したいと思いますが、そういう方向に進んでいきたいというふうに思います。
 前田先生にまずお伺いしますが、先生が所持罪について、今でも児童ポルノの捜査というのはハードルが高いんだというふうに先ほどお話をしてくださいました。肝心のものが逃げてしまう可能性があるんだと。そこに民主党案のように有償とか反復とかいう形をつけてくると、ますますこれは捜査が困難、そういうところを証明していくのは難しいんじゃないか。例えば取得行為の立証で、いつ、どこで、幾らで入手したんだ、こういうことはなかなか立証できないというお話をいただきました。
 実は、法案審議の中で民主党の質疑者から尋ねられまして、私たちも、与党でも取得して所持というのを議論したんですけれども、やはり取得の立証というのはかなりハードルが高くなるだろう、今より逃げ手をふやしちゃうんじゃないかということで、やはり所持をきちんと目的犯という形にして処罰していく方が筋ではないかということで与党案を作成したんですが、そのあたりについて、先生の御意見をもう少し教えていただければと思います。

○前田参考人 もう今のお話に、ある意味で尽きているかと思うんですけれども、やはり現実に、今先生のおっしゃったように、ふえている。ただ、それで十分検挙をされているかというと、必ずしもそうでない面もある。その意味で、やはり今より狭めなきゃいけないような方向に改正するというのは、何のための改正なのかと。
 もちろん、今御指摘がいろいろありましたように、表現の自由の観点とかで、広過ぎる処罰とか恣意的な処罰による人権侵害が起こっているのであれば、そこを見直すというのはよくわかるんです。だけれども、そういう問題の指摘がない。逆に、児童ポルノの規制が緩やか過ぎて、こんなに広がってどうするんだという声が上がっている。その中で、所持罪に広げていくというときに、有償とか反復というようなものの要件は非常に難しいという面があると思いますね。
 もちろん、目的規定というのは主観面ですので、主観面の立証というのは、もう多くの法律はそれは必ず必要ですのでやっていますけれども、そこは難しいんですね。ただ、さっき小宮山先生の話にもありましたように、ベストではなくてベターを求めていく。その中で、判断としては、与党案の目的規定によって絞るというのも一つのやり方で、十分合理性があるというふうに考えているということを申し上げたつもりです。

○富田委員 ありがとうございました。
 一場参考人からいただいた資料を見ていましたら、先ほど先生は、「児童ポルノの所持についてよくある質問」、駐日米国大使館の資料を見せていただきましたが、その二ページのことをお話しされましたが、ちょっと一ページの方を見ていましたら、一番最初に、「単純所持の処罰化は日本の警察に過大な権力を与えはしませんか。」という質問が出ていました。ここの回答を見ていて、この回答のとおりだなというふうに思ったんですね。こういうふうに書いてある。
 「日本の現行法は、麻薬等の禁制品の単純所持は処罰の対象としています。ですから、児童ポルノの単純所持の処罰法が、警察に対してこれまで以上の権限を与えることにはなりません。」こういうふうに明確に言った上で、三段落目で、「単純所持の処罰法を悪用から防ぐための予防措置は既に取られています。米国の裁判所のように、日本の裁判所でも警察による捜査令状の取得を管理することにより、プライバシーの権利を効果的に保護することができます。」
 一番この文書ですごいなと思ったのは、「児童ポルノの製造のために、児童がレイプや虐待を毎日受けています。その一方で、仮定に基づく権力の悪用というのは推測に過ぎません。我々の児童の権利を守ること、これこそが我々の最優先課題となるべきです。」
 私は、今回の法律をどう改正していったらいいかというのは、まずこの観点に立つべきだと思うんですね。濫用のおそれ、悪用のおそれというのは何らかの形でおさめていく。そういうことがないように、冤罪があってはなりませんし、自白の強要があってならない、それは当たり前のことなので、この改正によってそこが広がるようなことがあってはなりませんから、そこを何か抑える方法を考えるべきじゃないのかなというふうに思うんです。
 この点について、一場先生と、あと田島参考人も、先ほど、そういう実効性ある担保措置が必要だと言われていましたので、そのあたりについてお二人の意見をいただければと思います。

○ 一場参考人 先ほどの米国大使館の資料ですが、確かにそう書いてありますね。ただ、その後ろで、米国の児童ポルノの定義はあいまいなものではありませんということが書いてある。単純に比較をしないでほしいんですね、各国の児童ポルノの定義はみんな違いますから。そういう形で見ると、この三号に関しては、本当にあらゆる子供の裸が入ってしまうので、それだけはやはり変えるべきだと私は相変わらず思います。
 そして、所持、先ほど、民主党の案で、有償で反復して取得することが立証は困難というふうにおっしゃいましたけれども、それはつまり、故意で持っている人、間違えてダウンロードしてしまったり、ふっと入って送られてきてしまったりして持っている人は処罰の範囲から外すために、故意の具体的な形としてそういうものを多分入れられたんだろうなというふうには私は理解しております。

○田島参考人 実効性の前にちょっと一言だけなんですけれども、もし今のような単純所持罪が入れられてしまうと、私がちょっと懸念しているのは、裸体なり裸のたぐいのものというのは、もうどこの家庭でも、出版社でも、それからさらにメディアでも、膨大な形で、過去のものについても特に限定はないですね。だから、そういうことも含めてやられてしまって、しかもそれで三号の規定がかかわるということになると、これはちょっと、もしそれをやるにしても、そこのところの配慮は私はぜひやっていただくというのが必要かなというのが一点。
 それから、実効性のことなんですけれども、やはり、この規定が意味がないということではないと思うんですね。配慮規定というのは全く意味がないとは思いませんけれども、ただ、やはり一番大事なことは、実際に問題が起こったときに、どういう手だてで、どういう形でクレームなりあるいは権利の救済なりの道を、裁判とは別に図っていくという努力をしていかないと、やはり本当の役割は難しいのかな。ほかの例なんかを見てもそういうふうに私は感じますので、もし運用上の配慮規定を入れるのであれば、それだけではなくて、そこの部分をぜひ議論していただいて、つけ加えていただけたらいいのかなというふうに思っております。

○富田委員 田島参考人が御懸念されている、過去のものにさかのぼって与党の改正案を適用させようとは思っていませんので、現に持っているものについても、猶予期間を設けて、できればちゃんと処理してほしいというようなそういう配慮規定もしております。
 アグネス・チャン参考人にお伺いしたいんです。
 先ほど、お話を聞いていて、被害者の気持ちというのは多分我々の想像を絶するんだろうなというふうに思いました。特に、被害者の声を紹介されて、私たち被害者にとって、児童ポルノはポルノなどではなく、犯罪や虐待の現場を永久に残した、心をずたずたにする残酷な凶器ですという声を紹介されて、凶器は残してはなりません、そういう認識をやはり立法者側も考えないと、児童ポルノというふうに単純に考える、その定義の件とかいろいろ一場先生からも御指摘ありましたけれども、被害者の皆さんが今児童ポルノと言われているものに対してどんな感情を持っているのか、消せないもの、先ほど消しゴムのお話もありましたけれども、そういった思いをやはりこの法改正の中で何としても生かしていかなきゃいけないと思うんですね。先ほど、葉梨先生の質問にも答えられて、単純所持だけはどうしてもというようなお話がありました。
 ユニセフの大使として、この前ちょっと新聞で見たんですが、ブルキナファソにも行かれて、本当に大変な中に行かれたのに、そこでも何か問題になっていたというような記述もありました。日本から見ると物すごくおくれているような国でも、そういう児童ポルノの件をきちんとしていこうというような動きの中で、やはり日本はちょっとおくれているんじゃないかというふうにも思うんですが、そのあたりについて何かお考えがありましたら。

○アグネス・チャン参考人 ありがとうございます。
 本当に被害者の子供たちは、さっき言ったとおり、今まで撮られたものは全部消してほしいんです。だれかが持っているというのを思うだけで、本当に毎日レイプされているというような気持ちになってしまうんですね。
 実は私は、だから、それを好む、集めている人たちのブログとかも、そして私のところにもEメールが来たりするんですけれども、そういう人たちは、今一生懸命集めているそうです。もし与党案が通ったら、もちろん処分しなきゃいけない、それは大変なことだ、三年後はきっと漫画にも来ちゃうんじゃないかとすごい危機感を持っているんですね。だけれども、もし民主党案が通れば、持っていていいんだ、今のうち集めましょうというような呼びかけが今インターネットで広まっています。その持った分はどうなるの、皆集まって楽しむの、またどこかで流れてしまうの。
 要するに、加害者側の心理も考えないと、私たちは何のために法律をつくっていくか、両方の考え方をやはり想像しなきゃいけないと思うんですね。
 多分きょうは、被害者のその気持ちを皆さんわかっていただいたと思うんですね。でも、加害者も、やはりある意味ではとても賢いですよね。それと同時に、違法したくないんです。犯罪者にはなりたくないんです。だから、もしかして、本当に法律が通ったら、コンビニと同じように処分してくれるかもしれない。日本の皆さん、たとえそういうのを好む方でも、犯罪者にはなりたくない人がほとんどだと思います。やはり、法律に従う、この国を大事にし、そういうふうに生きていきたい人が多いと思うんですよ。
 だから、私、子供たちの声を代表して、単純所持は何とかして、ぜひ皆さん、納得していただきたいと思います。

○富田委員 ありがとうございました。
 何としてもこの国会で成立させていきたいと思いますので、四人の参考人の先生、本当にありがとうございました。
    〔委員長退席、谷畑委員長代理着席〕

○谷畑委員長代理 次に、保坂展人君。

○保坂委員 社民党の保坂展人です。ありがとうございます。
 まず、前田参考人に伺いたいんですが、いただいた資料の中に、この六月の初めでしょうか、法改正の次に来るもの、執行についてということで、エドワード・ショーというアメリカのFBIの駐日代表の方が報告をされて、シンポジウムがあったんだなということがわかりましたけれども、実はアメリカには、児童ポルノ関係で共謀罪もありますね。伝え聞くところによると、そのFBIの方などからは、やはりこの児童ポルノの捜査のためには共謀罪が必要だというような発言もあると聞いているんですが、そのあたりはどうなのか、教えていただけますか。

○前田参考人 今の御質問の趣旨、ちょっとわからなかったんですが、ショーさんと一緒に研究会をやったわけではないのであれですけれども、一般論としてお答えしますと、やはりアメリカの現場では、本当に児童ポルノに対して厳しい感覚を持っていて、徹底して調べる。その捜査官の人の話を伺ったことがあるんですが、そのためにはやはり共謀罪というのは有効なツールだと彼らが考えているということは容易に推測できるというふうに思っております。

○保坂委員 もう一点。私がたまたま手にした資料が余り新しくないので前田さんにお聞きしたいんですけれども、二〇〇四年の資料なんですけれども、これは、イタリアの児童保護団体のテレホノ・アルコバレーノという団体が、サイト上の一万七千十六件の児童ポルノサイトをいわば調べた。そして、一位はやはりアメリカであった、一万五百三件、二位は韓国で千三百五十三件、三位がロシアで千二百三十二件で、実は日本は、ブラジル、イタリア、スペイン、チェコの後の八位で、数はそう多くないですね、百六十五件。
 この間の報道で、日本は世界に非常に恥ずかしい児童ポルノの発信国だ、こういう言い方がありましたが、たまたま私が手にした資料なんですが、さらに新しい数字等でこういった傾向は大幅に変わったのかどうかということをお願いします。

○前田参考人 正確な、オフィシャルな統計資料みたいなものというのはないので、やはり任意団体的なものが集められたものなんだと思うんですね。
 ただ、私の印象も、日本のサイトの数とかが世界で物すごく多いということではないんですが、よくスウェーデンとかに指摘されるのは、画像の発信源ですね。それがいろいろ回り回って、ネットというのは世界じゅうに伝わっていくわけですけれども、児童ポルノ画像の撮影をして、それを流す源として日本が非常に多いという話はよく出てくる。
 ただ、現状で、インターネット関係で問題のあるサイトを探しているところで、やはり児童ポルノは相当問題があるという指摘はふえていますが、恐縮ですけれども、数字的なもので、今、日本の順位がどう変わってきているというようなことはちょっと持ち合わせていないので、申しわけないです。

○保坂委員 続いて、一場参考人に伺いたいんですが、先ほど来の議論で、アメリカの場合はかなり明確な規定がありますねということと、日本の場合のいわゆる三号ポルノの幅広さの問題なんですが、先ほどからの議論で、これは自民党の中にもいろいろな御意見があって、早川政務官のブログなど見ると、やはり宮沢りえの「サンタフェ」などがポルノということだけはこれは違うでしょうという議論があったということが書かれています。
 私もどちらかというとその立場で、ひどいポルノで、凌辱され、おとしめられ、そして人権侵害されている、アグネスさんが言われている、そういう被害児童を救出していかなければいけないのはもちろんですけれども、しかし、限界領域というよりは、どちらかというと違うのではないかというものも、捜査機関のある種の恣意性で、余りにも幅広い条文だと別の問題が起きる、こう考えているんですが、その点についてお願いします。

○一場参考人 まさにその点を先ほど来からずっと申し上げてきまして、恣意的な捜査の可能性を否定できない。そうした場合に、本当に大勢の人。この条文だけ読むと、何でいけないのというのがよくわからないんですよ。つけていないって、赤ちゃんはみんなつけていないでしょう、一体どうしてそれまで入っちゃうのということを一番私は言いたい。
 「サンタフェ」も入ってしまうかもしれないし、そういったものを持っているだけで、まだいいんですよ、サイトに提供する、製造する、そういったものはもう既に処罰化されています、持っているだけで処罰するかどうかを今議論している。持っているだけで処罰されたら、赤ちゃんの写真を写したお父さん、お母さんの写真が、みんな客観的には入ってしまう。それはやはり避けるべきだと私は思います。

○保坂委員 アグネス・チャンさんに伺いたいんですけれども、私の妹が大ファンで、デビュー直後から、陳美齢さんですね、いつも耳が痛くなるほどアグネスさんの歌を隣で歌っていたので、非常に感慨深いんです。
 私もチェンマイ、チェンライの、タイの取材に行きました、議員になる前ですけれども。そこで、ビルマから売られてきた子供たちがひどい目に遭って、救出されている施設にも行きました。子供にもインタビューしたり、非常に悲しい、そしてこんな子供たちが、大変だという今の思いはよくわかります。
 そして、今やっていた議論ですが、恐らくちょっとずれがあるんだろうと思うんです。ずれというのは、具体的に伺いたいのは、アグネスさんも芸能界にいらっしゃって、例えば、宮沢りえさんとは限らず、十代でデビューされた歌手の方とか女優の方とかがグラビアになったり、中にはセミヌードとか、そういうことで写真集を出されたりということを、目の前にいらっしゃったと思うんですね。
 私は宮沢りえさんの「サンタフェ」を改めて確認してみましたけれども、これは児童ポルノとして単純所持で規制するようなものではないと私は判断します。その点をごちゃごちゃにして、かなり広く、これは全部、すべからく規制するんだよということでは、かえって理解が難しいんじゃないか。いわゆるアグネスさんが言ったように、児童を本当にひどい形で凌辱し、そして一生の汚点となるような、それがサイト上にずっと残ってということはよくわかります。その点、どういうふうに考えますか。

○アグネス・チャン参考人 グラビアアイドルは芸能界の中にもいっぱいいらっしゃいます。でも、法律ができてからは、やはり十八歳未満の写真はできるだけみんなは避けています。やはり十八歳未満は、高校卒業するまでは健康的に子供時代を過ごしてもらうという。
 芸能界の中でも、例えば写真家からすごく私は非難されるんですけれども、そういう活動をすると私たちは子供の裸が撮れなくなっちゃったんだよと言われるんです。そうしたら私は大体、十八歳まで待ったらどうですかと。私はそう思います。そんなに十八歳未満の子供たちの裸を見る必要もなければ、水着の写真を見る必要もないと思う。十八歳になってもとてもきれいです。それは言い切れます。きれいな子はずっときれいです。その子をみんなに見せたいと。それが十八歳あるいは成人になってから見せればいいんです。決してまだ未熟な子供の裸を見るというのは、そんなに必要ないと私は思っているんです。でも、子供には子供のころは必要なんです。
 「サンタフェ」に関しては、実は私、新聞で、広告とかしか見たことがないんですね。だから判断がつかないんですけれども、でも、例えば、本当に法律が成立して、そして十八歳未満のそういうようなものは持ってはいけないんだよと、そうしたら、私は、個人の判断で、みんな処分するか残すのかと自分で考えていただいてもいいと思うんですね。
 決して大人は子供の裸を見なくては命を縮めるとかそういうことはないと思うんですね。もう少し待ってください、十八歳まで。ぜひお願いします。

○ 保坂委員 ということは、「サンタフェ」は見てはいないけれども、あるいは十八歳未満であれば、「サンタフェ」だけじゃないですけれども、児童ポルノ三号の要件に当たってしまうということだと思いますね。今、そういうふうに受けとめました。だから、そういったものは今後撮影されても発売されてもいけないという立場をお話しされたと思います。(アグネス・チャン参考人「今発売されていないんです、もうだめなんです、九九年から」と呼ぶ)いや、だから、発売されてはいけないという話なんでしょう。
 そこで、田島参考人に伺っていきますけれども、そもそもこの法律の保護法益そのものは、児童ポルノの被写体となって、非常にその人権を侵害されて、取り返しのつかない傷を負っている子供たちをきちっと救出していこうということであり、その点に我々も全く異議はないし、もっともっと進めるべきだ、足らない点があれば足すべきだと思っているんです。
 他方で、「サンタフェ」も含めて、過去出版された出版物を、あるわけですよね、百五十万部ぐらい売れたらしいですから。それは、本棚にあるかもしれない、古本屋にもあるでしょう。そして、過去の同様の写真集のみならず、雑誌のバックナンバーなんかも売っていますよ、古本屋で。そういうものも全部蔵出しして、一年以内に焼き捨てよと。あるいは、ごみで出したら、これまた提供罪に問われてもいけないしというようなことが、日本は過剰同調社会ですから、そこまで法律が求めていなくても、これはまずいぞというようなことで、どんどんどんどん本来の保護法益とは違う方向に走り出していき、これは最終的には内心の自由やあるいは表現の自由に重なってくる。現に戦前はエロ、グロ、ナンセンスの規制から始まっていったわけですから、思想の統制というのは。
 私は、児童ポルノがいいなんということは一つも思いません。しかし、それが拡張されていくことには危惧を感じる。その点についてどうでしょう。

○ 田島参考人 私が心配しているのはまさにそういうことであって、本当に大事なことは、きちんとそこに焦点を当てて、それで、それについては本当に厳格にそれをなくすように、あるいは厳しくそれを防止したり除去したりということを本気でやるということですね。だけれども、そうではない形になってしまうと、やはり本来の子供たちの保護とは違う文脈、あるいは違う形で過剰に規制や制約が及ぼされてしまったときに、我々の自由で民主的な社会というのは果たしてどうなってしまうのかということだと思うんですね。
 ですから、余りにも過剰な形の規制、広く網をかけ過ぎる規制をしてしまうと、本来大事にしなければいけない価値や権利というのが逆にうまく守れなくなってしまうし、逆に、規制や統制を本当にしたいというふうに考えている人たちは、むしろ非常に広い裁量の幅を持って、やれると思えばいつでもできるんだよというような形で我々の社会の上に君臨をしてしまうということになったら、やはりちょっと我々の社会のあり方としてどうなんだろうか、そういうふうに考えています。

○保坂委員 現に「サンタフェ」も、国会図書館では閲覧規制がもうかかっているんですね。ですから、きょうはこういった審査がありますから、見ないと議論できませんから見ましたけれども、しかし、閲覧規制がかかっているということは、それは一般の図書館ではもう見れないわけですよ。そういうところまでの議論を、私、十年前も、この立法当時いましたから、そこまで議論したかなという思いがあるんですね。
 ですから、古今東西、人間の表現あるいは芸術には、さまざまな、少女も少年も含めて、彫刻や絵に出てくるということはあります。それが、要するに芸術的な価値がどうなのかということを十分見て、私は、必要な規制はきちんとやるべきである、しかし、それによって表現の自由や内心の自由が萎縮するようなことはあってはならないという立場でお聞きをいたしました。
 どうもありがとうございました。

○谷畑委員長代理 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々には、貴重な御意見をいただきまして、この委員会を代表して、本当に、心より感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時二分散会


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